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2019年10月21日(月)

日本の核決議案 記述が大幅後退

国連委に提出

 【ワシントン=池田晋】日本政府は20日までに、軍縮について議論する国連総会第1委員会に新たな決議案を提出しました。来年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に焦点を当てた内容としているものの、過去のNPT再検討会議の合意事項に関する記述の大半を削除。核兵器の廃絶を「究極のゴール」として先送りするなど、記述が後退しています。

 本紙が入手した草案によると、決議名は「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」で、これまでの「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」から変更しました。

 決議案は本文冒頭で、「全NPT締約国が核廃絶という究極のゴールにコミットする」と再確認。昨年の決議に盛り込まれていた過去の再検討会議で合意された核保有国による核廃絶の「明確な約束」という文言は削除されています。

 核なき世界を「国際社会の共通ゴール」とする一方、それに向け「さまざまなアプローチがある」とし、核兵器禁止条約には一切言及せず。核使用の非人道性に「深い憂慮」を示す記述も消えました。

 また、締約国の「共同行動の指針」として▽保有国間の透明性向上▽リスク削減―など6分野で措置を取るよう奨励。ただ、軍縮を促すには「未来志向の対話が必要」だとし、軍縮を先送りする米国と歩調をあわせています。

 日本は一昨年の決議案で、過去のNPT合意の重要文言を削除したため、強い批判を受け、昨年の決議案で軌道修正。ただ、保有国の米仏が昨年の案に棄権票を投じ、日本の「橋渡し」アプローチの破綻が露呈しました。

 日本政府は1994年以降、毎年核兵器廃絶決議案を提出し、採択されてきましたが、2017年の核兵器禁止条約成立以降、賛成国が減っていました。


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