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2019年10月21日(月)

主張

消費税増税の痛み

「対策」の破綻が鮮明になった

 安倍晋三政権が消費税の税率10%への引き上げを強行してから、半月余りたちました。国民への税負担の重さとともに、安倍政権が増税にあたって「万全の対策」だと言った複数税率の導入やキャッシュレス決済でのポイント還元などの「対策」では、消費者や中小商店の混乱を拡大することが明白になりました。キャッシュレス決済を利用できる中小商店はまだ3割にも届きません。中小商店や飲食店では、今回の増税を機に、廃業や閉店などが相次いでいます。消費税率を5%に緊急に戻し、廃止を目指すことがいよいよ重要になっています。

お客のことを考えて

 安倍政権の増税「対策」の破綻は、衆参の予算委員会での基本的質疑で日本共産党議員がくりかえし取り上げました。11日の衆院予算委で宮本徹議員、16日の参院予算委で大門実紀史議員が明らかにしたように、キャッシュレス決済へのポイント還元に必要な登録をした中小商店は、東京都内の主な商店街でも1~2割、大阪市内の代表的な商店街である天神橋筋商店街でも1割強にすぎません。菅原一秀経済産業相は質疑の中で、徐々にしか増えていないことを認めざるを得ません。

 登録業者が増えないのは、専用のレジ購入や決済会社への手数料支払いが必要になるうえに、現金で支払うなじみの人や高齢者がいるのに、カードやスマホ決済の人だけにポイント還元で値引きするわけにはいかないと、お客のことを考えてのことです。

 消費税率の10%への引き上げに伴う複数税率の導入とキャッシュレス決済へのポイント還元で、買うもの、買い方、買う場所で、消費税の税率は10%、8%、6%、5%、3%と5通りにもなりました。同じ中小商店からキャッシュレス決済で買った食料品でも、持ち帰れば3%で、店内の「イートイン」で食べれば5%になるなど、制度は複雑です。中小の商店主やコンビニの経営者が登録をためらうのは当然です。

 週刊誌が、「お店も、買い物客も、手間ばかり増えて、やっぱりいいことナシ! 消費増税で大混乱! ポイント還元という『国家の罠(わな)』」と報じるなど、批判は強まるばかりです。しかもポイント還元は、来年6月までの「期間限定」です。4年後からは、消費税が非課税になっている零細業者も、仕入れにかかった税額を証明する「インボイス」が発行できる課税業者にならなければ、取引から排除される恐れがあります。

 大門氏が質問で今回の増税が中小事業者にとって何か一つでもいいことがあるかと迫ったのに、首相は言い逃れに終始しました。

緊急に5%への減税を

 もともと消費税は低所得者ほど負担が重い逆進的な悪税です。2014年4月に5%から8%に上げてから、長期にわたる日本経済低迷の要因になっていることを安倍政権も否定できません。

 米中貿易摩擦などで世界経済が悪化する中で、欧米の主要国で進められているのは庶民減税です。安倍政権の消費税増税は逆方向の大失政です。消費税を5%に戻す財源は、大企業と富裕層への応分の負担と米国製兵器の「爆買い」をやめる無駄削減などを通じて確保できます。市民と野党が力を合わせて減税を実現しましょう。


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