2019年10月9日(水)
主張
景気動向指数悪化
安倍政権の失政はごまかせぬ
内閣府が7日発表した8月の景気動向指数の速報値で、景気の現状を示す一致指数が前月より0・4ポイント低下し、基調判断も4カ月ぶりに「悪化」に引き下げられました。今回の景気判断は、内閣府でさえ景気が後退局面に入りつつあることを認めざるを得なくなったことを示しています。安倍晋三政権が強行した10月からの消費税率10%への増税がもたらす経済への悪影響の懸念はいよいよ深刻です。消費税を、安倍政権が2014年4月に8%に増税した前の5%へ戻すことが緊急に必要です。
4カ月ぶりに逆戻り
景気動向指数は、生産や消費、雇用などの統計をもとに算出されるものです。景気の現状を示す「一致指数」と、数カ月先の見通しを示す「先行指数」、過去の実績を示す「遅行指数」があります。現状を示す一致指数に基づく景気判断には、「改善」「足踏み」「局面変化(上方と下方)」「悪化」「下げ止まり」の5段階があります。
8月の一致指数は前月より0・4ポイント低下した99・3(2015年=100)です。消費税を8%に増税した後続く消費の不振や、米中貿易摩擦の長期化による生産の落ち込みが顕在化したためです。
景気の基調判断は、今年1、2月までは「下方への局面変化」でした。3月に第2次安倍政権発足直後の13年1月から6年2カ月ぶりに最も厳しい「悪化」に転じ、4月も「悪化」でした。5~7月は「下げ止まり」でしたが、8月は再び「悪化」に逆戻りしたわけです。数カ月先の景気の見通しを示す先行指数も、前月に比べ2・0ポイント低下し、91・7でした。
安倍政権は第2次政権発足後、「戦後最長」の景気拡大が続いているなどと“自慢”してきましたが、そのごまかしは、もはや通用しません。先週発表の日銀の短期経済観測調査でも企業の景況感は3四半期連続で悪化しました。
10月からの消費税の増税は、国民の負担をさらに増やし、消費を冷やし、景気の悪化に追い打ちをかけます。安倍政権が消費税を8%に増税してから家計の実質消費支出は年間20万円も減り、働く人の実質賃金も年間15万円も減っています。8日発表の厚生労働省の毎月勤労統計調査でも、8月の実質賃金は前月比0・6%減と、8カ月連続のマイナスでした。政府が発表する経済指標が、日本経済の深刻な状況を示すなかでの10%への消費税増税は暴挙以外の何物でもありません。
アメリカの新聞ウォール・ストリート・ジャーナルは先月末、消費税増税について、「日本経済を脅かす政策」だと書きました。景気動向指数の「悪化」の判断は、この警告の正しさを浮き彫りにしたものです。
5%減税こそ緊急課題
消費税が10%に増税された後、最初の世論調査となった共同通信の調査では日本経済の先行きに「不安」が70・9%(「東京」7日付)を占めます。
消費税率の10%への引き上げは、失政に失政を重ねる「二重の経済失政」です。8日の衆院の代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長が「二重の経済失政」を正せと、財源策も対置したのに、安倍首相はまともに答えもせず、開き直りました。消費税の廃止を目指し、緊急に5%への減税を迫る世論と運動の拡大が急務です。