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2019年10月8日(火)

ポルトガル社会党が第1党

首相、左翼政党と協力継続

 【リスボン=伊藤寿庸】ポルトガル議会(一院制、230議席)の選挙が6日投開票され、緊縮政策の克服を進めてきたコスタ政権与党の社会党が議席・得票を伸ばして第1党となりました。2011年から15年まで厳しい緊縮政策を行った右派2党は合わせて25議席減で、前回15年選挙での25議席減に続き、国民の厳しい審判を受けました。


 コスタ首相は6日夜、勝利演説を行い、国民が現在の政権の枠組みを支持したとして、これまでの左翼政党との政権協力を継続すると表明。「右派政党は最大の歴史的敗北を喫した」と述べました。

 国外票に配分される4議席が未確定の段階で、社会党は20議席増の106、閣外協力の左翼ブロックは19で現状維持、共産党(緑の党と選挙連合)は5議席減の12となり、3党合わせると過半数に達します。

 これに対し、社会民主党が77(前回比12減)で第1党の座を失い、民衆党が5(同13減)となりました。

 第3党の座を維持した左翼ブロックのマルティンス党首は、選挙結果は「右派政党の歴史的敗北であり、社会党は明確な勝者だ」と発言しました。

 環境・動物愛護政党の「人・動物・自然」党(PAN)が1から4へと躍進しました。


解説

右派政党に厳しい審判

緊縮政権の復活を拒否

 選挙結果は、社会党政権が左翼政党の支持を受けながら4年間続けてきた緊縮政策の克服への国民の信任を示しました。

 対照的に、緊縮を進めた右派2党には、2015年に続き厳しい審判が下り、緊縮推進政権の復活を拒否する民意が明確になりました。

 政府はこの4年間、失われた賃金や年金の回復、国民の懐を温める所得税減税、付加価値税減免の拡大、公共交通の値下げなどを進めてきました。選挙戦では、社会党も左翼政党も、これらの成果を評価しました。

 社会党のリカルド・フェリックス財務副大臣は、左翼政党との関係について本紙の取材に答え、「議会では非常に厳しい議論を行ったが、多くのアイデアが出る建設的な討論だった」と指摘。「三脚のように、どの脚も大切であって、一本が欠けても倒れてしまう。これが安定の秘訣(ひけつ)だ」と語りました。

 社会党と左翼政党との間では、欧州連合(EU)の財政規律などへの対応では大きな意見の違いがあります。緊縮政策からの回復は道半ばで、左翼政党はさらなる賃金・年金の引き上げ、時短などを求めています。

 10月1日から施行された労働法の改定をめぐっては、左翼政党や労組が、不安定雇用の拡大につながると反対しましたが、右派政党が棄権して成立に協力。今後も社会党と左翼政党との厳しい対立要因となりそうです。

 左翼ブロックのマルティンス党首は、社会党に対して、協力のための話し合いに応じる用意があると発言。社会党に対し、労働条件の改善、原則無料の国民保健サービスの維持、郵政などの民営化反対、気候変動対策を含む公共投資拡大、年金引き上げなどでの積極的な対応を求めました。

 (リスボン=伊藤寿庸)


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