2019年10月8日(火)
消費税増税で「成長できない国」
5%に戻しくらし・経済元気に
安倍晋三政権は1日、10%への消費税率引き上げを強行しました。複数税率や「景気対策」としてキャッシュレス払いへの「ポイント還元」などを導入したため、各地で間違った税率での販売など、混乱が相次ぎました。いま必要なのは混乱と生活苦をもたらす消費税率10%ではなく、5%への減税です。(清水渡)
10%強行で混乱
複数税率は食品を8%に据え置く一方で、外食や酒類は10%の税率です。東京都北区にある十条富士見銀座商店街の食品小売店の店主は、「8%と10%が混在していて複雑だ。うちには飲食スペースがないからマシな方かもしれない」とあきれ顔でした。
都内のカフェスタンドには、行列が起きていました。店員が一人ひとりの客に店内飲食か持ち帰りかを尋ねるためです。
交通機関は一斉に運賃を引き上げ。増税前に誤って消費税率を10%に設定してしまい、料金を余分に徴収するトラブルも、奈良と愛知で起きています。
貧困と格差深刻
| |
|
消費税導入と度重なる増税は、深刻な貧困と格差をもたらしました。所得の少ないものほど負担が重くなる逆進性があるからです。
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、年収が200万円以下のいわゆるワーキングプア(働く貧困層)は13年連続で1000万人を超えています。
消費税増税は、価格への転嫁が難しい中小企業の営業を破壊します。東京商工リサーチの調査によると、2018年に全国で休廃業・解散した企業は4万6724件と、前年より14・2%の増加でした。休廃業・解散は14年の消費税率引き上げ後に増加し、16~18年は3年連続で4万件を超えました。
貧困がまん延し、中小企業が痛めつけられた結果、日本は経済成長できない国になってしまいました。
各国の国内総生産(GDP)の推移をみると、アメリカは1997年から2017年の間に2・27倍に増えました。同じ期間にフランス1・78倍、イギリス1・7倍、ドイツ1・66倍です。一方、日本は1・1倍にとどまります。(グラフ❶)
経済成長が停滞しているもとで、労働者の時間当たり賃金は減少しました。各国の1997年と2018年の時間当たり賃金の変動率は、韓国で167%増でした。同じ期間にイギリス93%増、アメリカ82%増、フランス69%増、ドイツ59%増です。しかし日本は8%の減少です。(グラフ❷)
こうした害悪が明らかな消費税を続けていいのかが問われています。
「8%」の深い傷
| |
|
14年4月に強行された8%への消費税率引き上げは、くらしと日本経済に深い傷を与えました。
消費税増税で物価が上がったのに、賃金が伸び悩んでいるため、深刻な消費不況が起きています。
総務省の家計調査から直近1年平均の実質消費支出をみると、年換算で343・4万円(2人以上の世帯)です。増税前の13年平均363・6万円から20万円以上の下落です。(グラフ❸)
国全体の家計消費をみても、低迷は明らかです。GDPの家計最終消費支出(持ち家の帰属家賃を除く)は、増税前の13年には実質で平均241兆円でした。しかし、増税5年後の今なお、240兆円に届いていません。(グラフ❹)
消費税を5%から8%に引き上げたことで、消費不況が深刻になりました。だからこそ、安倍政権によってもたらされた消費税の連続増税を元へ戻し、税率を5%にすることが重要です。
減税と合わせて
同時に、消費税減税と一体に、賃上げとくらし応援への政治の転換が必要です。
日本共産党は参院選で、①8時間働けばふつうにくらせる社会を②くらしを支える社会保障を③お金の心配なく、学び、子育てができる社会を―という、「くらしに希望を―三つのプラン」を公約に掲げました。
消費税減税とともに、この実現を目指します。
国民所得改善で
5%への税率引き下げを実現するための財源は、税金の集め方と使い方を変え、経済の好循環を実現することで解決できます。税金の集め方は、能力に応じて負担する「応能負担」が原則です。具体的には、大企業と富裕層への優遇、不公平税制を見直すことです。税金の使い方は、無駄遣いをやめ、国民生活に重点を置くことです。
大企業は空前の経常利益をあげています。しかし、もうけの伸びほど法人税収は伸びていません。安倍政権が大企業減税を繰り返してきたからです。同時に、研究開発減税など大企業優遇税制も拡充してきました。大企業優遇税制を是正し、法人税率を安倍内閣以前の水準に戻します。
所得が1億円を超えると所得税の負担が減ります。富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益が住民税と合わせても20%にすぎないからです。証券税制の是正と所得税の最高税率を見直します。また、為替取引税、富裕税、炭素税(環境税)を創設します。
税の使い方では、軍事費や大型開発をはじめ歳出を見直し、国民のくらし優先に振り向けます。
消費税減税とくらし応援へ、政策転換をはかることで、国民の所得の改善と健全な経済成長が実現できます。経済成長をすることで、さらに税収を増やすことができます。