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2019年10月6日(日)

香港 マスク禁止に反発

緊急条例発動

18行政区すべてで抗議行動

人権団体など声明次々

 【北京=釘丸晶】香港政府が4日、超法規的措置である「緊急状況規則条例」(緊急条例)を発動し、デモ参加者のマスク着用を禁じる「覆面禁止規則」を制定したことを受け、民主派団体や人権団体は相次いで抗議声明を発表しました。香港市民は反発を強め、政府の発表直後から新たな抗議行動を展開しています。


 香港の主要紙「明報」(電子版)によると、逃亡犯条例改定案反対で100万規模のデモを主催してきた民主派団体「民間人権陣線(民陣)」は声明を発表し、「政府は権力を使い、立法会(議会)を飛び越え悪法を成立させた」と批判。「合法的な平和デモの権利さえ抑圧するものだ」と指摘しました。

 人権団体の「民権観察」も声明で「香港の一貫した立法プログラムに違反する。全体主義政府のやり方だ」と非難。アムネスティ東アジア地域事務所は声明の中で政府当局に「デモ参加者が平和的に意見表明する権利を尊重し、過大であいまいな規制によって彼らの声を抑えるべきではない」と主張しました。

 若者の政治団体「香港衆志(デモシスト)」の周庭氏は日本語でツイッターに投稿し、「緊急法を使って、覆面禁止法だけでなく、政府は多くの制限や弾圧を加えることができます」と懸念を述べています。

 市民らは、緊急条例発動が発表された4日午後に、香港島中心部の中環(セントラル)で覆面禁止規則に反対する抗議行動を開始。抗議は次々に広がり、香港メディアによると逃亡犯条例改定案への反対運動が始まって以来初めて18ある香港の行政区すべてで同時に実施されました。

 抗議行動は一部の参加者が道路を封鎖し、地下鉄の駅に火をつけるなどして過激化。警察は催涙弾を放ち、デモ隊と衝突しました。新界地区では14歳の少年が足を撃たれて負傷。香港鉄路は抗議行動を受けて全線で運行を中止しました。

 一方、中国国務院香港マカオ事務弁公室の楊光報道官は4日、談話を発表し、「(覆面禁止規則の)制定は必要であり、暴力犯罪を抑え、社会秩序の回復に役立つ」と歓迎。中国の出先機関である香港連絡弁公室も談話で「断固支持する」と表明しました。


 緊急条例 香港の緊急状況規則条例(緊急条例)は英植民地時代の1922年に制定され、発動されたのは67年に暴動が発生して以来、今回で2回目です。97年に香港が中国に返還されてからは初めて。

 香港政府が「緊急状況」や「公衆の安全に危害が及ぶ」などと判断すれば発動でき、▽出版物や通信の検査や制限▽移動や輸送の制限▽行政があらゆる場所に侵入し捜査できる▽財産の没収などが盛り込まれています。行政長官に強大な権限を与え、議会の承認を得ずに「『公共の利益にかなう』あらゆる規則の制定」ができるため、今後も過激な抗議活動への対応を名目にさらなる規制強化が行われる可能性があります。(北京=釘丸晶)


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