2019年10月4日(金)
補助不交付
審査委の決定無視
愛知芸術祭文化庁決定 委員、抗議の辞意
文化庁が、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金約7800万円の全額不交付を決定した問題で、補助金採択の審査委員を務めていた野田邦弘・鳥取大学特命教授が2日、委員辞任の意向を文化庁に伝えたことがわかりました。
野田氏によると、不交付決定について文化庁から委員に事前の相談はなく、連絡があったのは9月26日の不交付発表から3日後の29日でした。審査委員会では、4月に同補助金について審査し採択を決定していました。
野田氏は「審査委員会を開き4月に採択したものを、9月の末になって文化庁のなかだけでひっくり返すのは問題だ。審査委員会の決定を無視するもので、国のやり方は常識はずれ。こういうやり方が定着すれば、外部の専門委員会を設置する意味がなくなる」と話しました。
文化庁は、展示継続が難しくなるような事態を愛知県が認識しながら申告せず、「事業の継続性」等を適正に審査できなかったことを不交付の理由にしています。しかし野田氏は「再開の方向が示され、事業継続の可能性は一定回復されており、補助金を出さない根拠は崩れている。一部の展示を理由に全額不交付というのも理屈にあわない」と指摘。「決定が官邸主導、文科大臣の意向で進められていると感じる」と語ります。
野田氏は、文化芸術振興基本法が文化芸術基本法へと2017年に改定されたさい、憲法21条がうたう「表現の自由」の文言が盛り込まれたことに触れ、「文化庁がこれを否定するようなことをやってしまったことは大問題だ」と述べました。(伊藤幸)