2019年10月1日(火)
重税 耐え難い
蓄え削られ この先…
東京・港 中華料理店主
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「集客率を考えるとお客さんに、増税分を転嫁することはできない。厳しい状態が続くだろうね」。東京都港区で親の代から50年間、中華料理店を営むAさん(70)は、厳しい表情で語ります。
30人ほど座れる店内で昼は中華ランチ、夜は居酒屋を営業。午前6時から仕込み、午後10時半まで、妻と従業員とともに1日16時間ほど働いています。
「値上げはできないね」。増税分をかぶれば、単純計算で1日の売り上げが約9万円として、2%増税で日に1800円、1カ月で5万4000円、1年で64万8000円の負担増になるといいます。
「あれば仕入れや経費に充てられた、もともと出ていかなくてすむお金。それを自分でかぶらないといけなくなる。少ないダメージのようでも年間にすると厳しい」
消費税10%を取られるお客のほうも、サラリーマンの給料は上がっていません。
小遣いのなかで食事代は一定、決められています。当然、食事代に敏感になり、店に3回きていたのが2回にやり繰りされ、控えるようになるだろうとみています。
Aさんは「零細飲食業。稼がないとやっていけない。消費税増税は、ダメージが大きい。大企業は、バブル期をこえる大きなお金をプールしているというよね。そのお金を何とかしてほしい」と切々と話します。
「働かないとしょうがないから働いているんだよ」と力説するAさん。「『老後は2000万円ないとやっていけない』なんて話があったけど、現実的に自分たちが廃業しても、国民年金だけで生活することは難しい。だから嫌でも働かないといけない。その蓄えを消費税が削っていく。何とかしてほしい。80、90までは働けないからよ…」(遠藤寿人)