2019年9月30日(月)
10月からの社会保障関係連続パンチ
経済的弱者に追い打ち
75歳以上低所得者 医療保険料3倍化
消費税10%とセットで改悪
10月1日から社会保障に関する制度改定が行われます。その中身をよくみると、経済的弱者に追い打ちをかける安倍政権の冷たい姿勢が浮かび上がります。(松田大地)
まず、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、年金収入が年80万円以下の低所得者(約378万人)に対して保険料を9割軽減している特例措置を廃止します。本則の7割軽減に引き下げられ、保険料は3倍化。年額で平均1万3500円(20年度)に跳ね上がります。
代わりに「年金生活者支援給付金」の支給や介護保険料の軽減が行われますが、低所得者ほど負担が重い消費税増税とセットです。
実質削減すすめ
しかも、年金生活者支援給付金は、基礎年金(国民年金)の満額=年78万円以下などの低所得者を対象として基礎年金の加入期間に応じて支給するため、同期間が10年の人は月1250円、年1万5千円しか受け取れません。60歳まで40年分を完納しても、基礎年金と合わせて最大で月約7万円だけです。そのうえ、政府は年金支給額の実質削減をすすめています。
介護保険料の軽減も低所得者が対象で、基礎年金満額のみが収入の単身世帯は月880円減となります。しかし、保険料自体は右肩上がりです。現在の平均保険料は月5869円で、制度創設時から2倍化。25年には月平均8千円超に引き上げられる見込みです。
政府はわずかな拡充を“改革”だと誇って見せますが、消費税増税が生活悪化に追い打ちをかけるのは必至です。後期高齢者医療の保険料軽減の特例縮小・廃止は17年度から段階的に切り縮めてきたもので、じりじりと痛みを押し付けてきたことにも無反省です。
さらに、特例廃止には年金収入が年80万円超~168万円以下の約367万人も含まれます。多くが先述の給付金や介護保険料軽減の対象外のため、国は1年間だけ特例廃止の負担増分を補填(ほてん)しますが、保険料の定額部分は20年10月から2倍に跳ね上がります。
そもそも、政府が特例措置を設けざるをえなかったのは、高齢者の厳しい生活実態があるためです。いまでも75歳以上の1人あたり平均所得は年85万7千円(厚労省18年度調査)にすぎません。
貧困と格差拡大
一方で医療保険料の引き上げが繰り返され、滞納者は近年20万人以上で推移。有効期間が短い保険証にされた滞納者は2万人を超えています。医療にかかりづらくなれば重症化を招きます。
痛みを強いられるのは現役世代も同様です。安倍政権は国民の生存権を守る“最後の砦(とりで)”である生活保護を連続改悪しています。
現在は、食費や光熱費など日常生活に充てる生活扶助の支給基準を、18年10月から3年間かけて引き下げている最中で、10月から第2弾が発動されます。3回すべて実施されれば、都市部に住む「40代夫妻と子2人(小・中学生)の世帯」の場合、年10万円以上も少なくなります。
「誰もが安心して暮らせる全世代型社会保障を」とうそぶく安倍政権。その道は、安心どころか貧困と格差の拡大につながっています。
10月からの社会保障関係連続パンチ
75歳以上の医療保険料軽減特例の廃止
生活保護費の連続削減第2弾の発動
消費税10%への大増税