2019年9月25日(水)
主張
迫る「10%」の強行
消費税増税中止の声最後まで
安倍晋三政権が10月1日から強行を狙う消費税率の10%への引き上げまで1週間を切りました。
23日に東京・新宿区で行われた「Stop!消費税 暮らしを守る緊急デモ」に多数の市民が参加したことにも示されるように、国民の多くは増税に反対しています。今回は増税前の「駆け込み」需要が低調と言われているように、国民の暮らしはゆとりがなく、経済情勢はいよいよ悪化が鮮明です。こうした中で消費税の増税を強行すれば、暮らしも経済も破壊します。最後まで増税中止の声を上げ続けることが重要です。
ますます強まる不安
増税の強行を目前に、国民の不安はますます強まっています。
増税と同時に導入される複数税率やキャッシュレス決済のポイント還元によって、買う商品、買う場所、買い方によって、増税後の税率は10%、8%、6%、5%、3%と5通りにもなります。現金で買う酒類のビールやみりんは10%で、食料品のノンアルコールビールやみりん風調味料は8%です。これに、コンビニや中小商店でのポイント還元が加われば、同じビールでもコンビニでは8%で、中小商店では5%、ノンアルコールビールはコンビニでは6%、中小商店では3%が課税されます。同じ食料品でも、持ち帰れば8%で、店内で食べれば10%です。「公平・中立・簡素」が税の大原則ですが、消費税増税後のややこしさは、この上なく深刻です。
持ち帰りと店内飲食では税率が異なるため、店先のベンチなどを残すか撤去するか悩んでいる中小商店やコンビニもあります。ファストフードなど、持ち帰りも店内飲食も可能な外食店では、店内飲食と持ち帰りの本体価格を変え、消費者の税込み価格を統一するところもあります。いずれも店主やオーナーには頭の痛い問題です。
中小商店がキャッシュレス決済でのポイント還元を実施するには、そのための登録や、専用のレジスターの導入が必要ですが、まだほとんど進んでいません。キャッシュレス決済でのポイント還元に反対してきた全国のスーパーマーケットやチェーンストアの団体は先週改めて、抜本的な見直しを申し入れました。買う側にも売る側にも混乱をもたらす増税に道理はありません。
9月中旬の世論調査でも消費税増税に反対が50%、景気に影響が出ると思うが63%を占めます(「毎日」16日付)。共同通信の調査でも増税後の経済に「不安」が81・1%に上ります(「東京」13日付など)。世界の主要国が参加する経済協力開発機構(OECD)も先週、貿易摩擦の高まりと不確かな政策見通しによって、世界経済の成長はさらに弱まると警告しました。こうした中での消費税増税の強行は、主権者・国民の意思にも世界からの懸念にも逆行します。
どう見ても暴走そのもの
もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進的な税金です。しかもこれまで導入した時も増税した時も、安倍政権が2回にわたり増税を延期した時も、経済情勢は今ほど悪くありませんでした。10月初め発表予定の日本銀行の短期経済観測調査(短観)も悪化が見込まれています。10月1日からの消費税増税はどこから見ても、暴走そのものです。増税中止の一点で最後まで力を合わせましょう。