2019年9月23日(月)
消費税増税「10%」強行目前
あきらめどころか 怒り・不安噴出
安倍晋三政権が消費税率10%への引き上げ狙う10月1日を前に、あきらめどころか増税への不安や怒りが広がっています。(杉本恒如、増田哲明)
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「2%上がるだけで大変なのに、複数税率の分かりづらさもある。複雑すぎて経理も大変になる」
東京都内で青果店を経営する男性の不安は日ごとに増しています。数年前に新鮮な果物を使ったジュースやパフェの販売を始めました。今では売り上げの6割を占めます。飲食物は、店内で提供すれば10%、持ち帰りなら8%に税率が変わります。税率を正確に適用するには、店内や店先で食べないようお客さんに注意しなければいけません。
全国スーパーマーケット協会の調査では、全国の食品スーパーの6割以上が複数税率は「デメリットが大きい」と回答しています。
日本チェーンストア協会など小売り4団体は、増税対策としてのポイント還元事業は「政策目的があいまい」で「実施されるべきではない」との意見・要望書を上げています。コンビニ大手などが実質値引きで対応しようとしていることを「官製による『常時値引き』が可能な店舗が至るところに出現することは、公正・公平な競争環境や自由な事業活動を大きく損なう」と批判しています。
日本FP(ファイナンシャル・プランナーズ)協会の意識調査によると、77・7%が増税で家計が「苦しくなると思う」と答えています。このうち、増税後に「おかずの品数が減ると思う」は56・2%、「使う食材の質が落ちると思う」は63・2%に上ります。(グラフ参照)
10%への消費税増税が企業経営や庶民生活に深刻な弊害を及ぼすのは明らかです。今からでも増税は中止すべきです。
増税阻止の気迫で廃止へ
ジャーナリスト 斎藤貴男さん
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今月、多くのメディアに頼まれて消費税のことを書いています。おなじみの消費税反対論なのですが、かつてない反響です。読者アンケートでトップになったという話も聞きました。いよいよ消費税の恐ろしさが浸透してきたと感じています。
権力側は10%で終わりだとは考えていません。必ずまた増税を言い出します。消費税は弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制だからです。強者にとっては税金であって税金でない。金もうけの手段なんです。
消費税増税に伴う「景気対策」、特に「軽減税率」とポイント還元は恐ろしい結果をもたらします。「軽減税率」をもらうために新聞は権力に魂を売りました。これはジャーナリズムの自滅につながります。ポイント還元はキャッシュレスを前提にしている点が大問題です。買い物がすべて記録され、完全な監視社会ができてしまいます。
今からでも消費税増税をやめさせるという気迫で立ち向かわなければ、私たちには将来がありません。万が一10%を強行されても、その次の増税は絶対に阻止する。そして反対に、減税させ、将来的には廃止させなければなりません。多くの人が危機感を持っているのですから、決して不可能ではありません。