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2019年9月20日(金)

千葉 漁業被害4.3億円

台風・停電 イセエビ4トンなど死滅

 首都圏を直撃した台風15号と長引く停電により、千葉県内の漁業に深刻な影響が生じています。同県の発表によると、17日時点での水産物や水産施設などの被害額は約4億3000万円にのぼります。

 広い範囲で停電が続く房総半島の南房総市や鴨川市、鋸南(きょなん)町を中心に水産物(いけす内の魚介類、冷凍品など)の被害額(県内で計1億3900万円)が特に大きく、強風により漁船213隻や、漁具倉庫などの施設317カ所も被災しました。

 南房総市の漁港では、イセエビやサザエなどを出荷時まで保管する蓄養場のポンプが停電で止まり、いけすに海水や酸素を送れなくなりました。

 南房総市などに約4500人の組合員を抱える東安房漁業協同組合によると、19日までにイセエビ約4トン、サザエ約2トン、アワビ約600キロが死滅し、処分したといいます。

 同漁協の福原優一参事は「非常用の発電機2台を借りたが、ポンプを回しきれなかった。被害額は8千万円くらいになるだろう。打撃が大きすぎる」と話します。

 木更津市や富津市でも高波により漁船が転覆し、漁港施設の屋根や窓ガラスが壊れるなどの被害が出ています。

 金田漁業協同組合(木更津市)の相川達哉指導主任は「水槽の水を循環させるポンプが動かず、ノリの種付け作業が1週間ほど遅れている。今後の影響が出ないか心配だ」と不安げな様子で話しました。(丹田智之)

アワビ大量死 腐敗臭も

台風直撃千葉・南房総 漁業者苦難続く

写真

(写真) ポンプの停止によりアワビが死んだ蓄養場の状況を説明する渡辺靖浩場長=19日、千葉県南房総市

 台風15号と長引く停電による漁業被害が深刻な千葉県。電気が復旧した南房総市千倉町の漁港では19日、漁協の職員が被災状況を確認し、苦難が続く状況で漁業の再開に向けた準備が進められていました。

 漁港の周辺にはシャッターや看板が壊れた海産物店が目立ち、魚介類が腐敗した臭いも残っています。

 「いけすの冷却ポンプが壊れてしまったので、水量を多くして温度の上昇を抑えている。アワビが大量死して水が汚れてしまい、新しい水と入れ替えるしかない。ホテルや民宿にも出荷しているので、20日から再開できるようにしたい」

 出荷時までのアワビを保管する川口蓄養場の渡辺靖浩場長は、困惑した様子です。

 東安房漁協の福原優一参事は「通常の停電の備えしかできていなかった。電話も通じず、助けを求めることすらできなかった」と悔しがります。

 福原さんは「例年、9月から11月にかけて出荷の時期を迎える。ところが、サザエは全滅、イセエビは8~9割、アワビは3割が死んでしまった。1年の収入の多くを失うことになる。漁業共済による損害補償はなく、被害の実態を踏まえて行政が動いてほしい」と訴えています。


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