2019年9月17日(火)
きょうの潮流
すさまじく国民から嫌われ、史上最悪と呼ばれるダメ総理。ある日、投げつけられた石が頭に当たり記憶喪失に。すると、金と権力に目がなかった悪徳政治家が善良で純朴な人物に変わる―▼先週封切りされた三谷幸喜監督の「記憶にございません!」。政界を舞台にした喜劇に劇場は笑いに包まれていました。とりまく陰謀や利害、米大統領の来日。家族も巻き込んだドタバタ劇に、どこか現実が重なってきます▼国民に暴言をはき、消費税を上げ、強行採決をくり返してきた首相がそれを反省して謝る場面も。実際、鑑賞した安倍首相は、三谷監督から身につまされたところを問われ「悪い総理の時代に消費税を上げるというのは、ちょっと(現実と)かすったかな」と答えています▼一から政治を学び直して夢や理想をとりもどし、国民のための政策を実行する。それに逆行する政治が横行する世にあって、笑いに流されながらも政治とは本来こうあるべきなんだという思いがわいてきます▼増税をはじめ苦しくなるばかりの生活、八方ふさがりの外交、被災者の叫びに耳を貸そうともしない政権。現実は映画のようにはいきません。しかし政治に希望を失えば、この国の未来はどうなってしまうのか▼いま共産党は野党連合政権に向けた話し合いを始めました。市民とともに新しい政治を実現させるために。「二度と政治に失望させない」。映画のなかで主人公が発した国民との約束。それを現実のものにしていく共闘の時代を切り開こうと。