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2019年9月7日(土)

「慰安婦」・強制徴用問題―歴史修正主義を最優先した安倍政権

韓国・京郷新聞が志位委員長インタビュー

写真

(写真)韓国の全国紙・京郷新聞のウェブサイトに掲載された志位委員長のインタビュー記事

 韓国の全国紙・京郷新聞は4日付に日本共産党の志位和夫委員長のインタビュー記事を掲載しました。「志位和夫日本共産党委員長『歴史修正主義を最優先した安倍政権、慰安婦・強制徴用問題を放置』」と題する記事で、志位氏は日韓関係悪化の原因や安倍政権による政経分離原則に反する対韓輸出規制強化の問題点や、植民地支配への反省が不十分な原因などを解明しているほか、安倍外交の相次ぐ失敗などについても解説しています。同記事のうち、一問一答部分の日本語訳は次の通りです。

日韓関係悪化の原因は

 ―韓日関係が悪化している。

 「安倍政権に原因がある。大法院の強制徴用判決を国際法違反だと言って、被害者の尊厳と名誉を回復する責任を放棄し、韓国に対する一方的な非難を続けた。対抗措置として輸出規制を使い、政経分離の原則に反する禁じ手を使った。そうしておきながら、安保上の輸出管理(体制の)再検討だと言った。欺瞞(ぎまん)的な態度だ。根本原因は安倍政権が植民地支配への反省を放置してきたことだ。1995年の村山談話、1998年の金大中・小渕宣言などは、1990年代後半に植民地支配への反省を語った。当時、安倍首相は歴史修正学派の若手旗手として(登場し)、歴史を書き換えること、戦争は正しかったのでありこれを遂行した日本は美しい国だと言うことに力を注いだ。2015年の安倍談話で、韓国の植民地化を進めた日露戦争が植民地支配に苦しんでいるアジアの人々に勇気を与えたとあべこべに語った。黒を白だと言って、侵略戦争を正当化した。歴史修正主義を繰り返しながら、慰安婦であれ徴用問題であれ、正直な対応をしなかったことが今の問題を生み出した」

徴用工問題 どう解決

 ―日本国民の支持が高い。

 「政治が韓国蔑視と排外主義をあおり、メディアの多くも同調している。日本政府は、徴用問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みだというが、(被害者の)個人請求権は消滅していない。日本政府もこの点を認めている。日本の最高裁判所も2007年、中国の強制連行被害者の裁判で、個人請求権が実体的に消滅したものではないとして、西松建設が和解して賠償金を支払った。中国にできたことが、なぜ韓国にはできないのか。日韓の政府と最高裁判所が、個人請求権は消滅していないということで一致している。これを重視して、民間訴訟を政治問題に拡大せず、被害者の尊厳と名誉を回復する措置を取らなければならない」

安倍政権の狙いは

 ―他の目的があるのだろうか。

 「安倍政権は一貫して隣国を侮辱して、自らの支持層にアピールして、支持率を上げようとしている。たとえば、韓国に対する仲裁委員会の要請の回答期限を参院選(投票日の)直前に定めた。見え見えだ。そういうふうに自らの支持率を上げようとしているのであり、そういうやり方にメディアの多くが同調しているのが大きな問題だ。政治家としてやってはならないことだが、安倍首相はずっとそれをやってきた政治家だ。前回の総選挙では、北朝鮮(問題)を『国難』だとまで言って衆議院を解散した。北朝鮮問題をさんざん利用したが、トランプ大統領が対話路線に行ったので、今はそういうわけにはいかないので、ほかのところに矛先を向けている。ただし、それにとどまらない動きも生まれている。最近の(貿易規制拡大)行為は、日本が自ら首を絞めるものだ。韓国の観光客が急減するなど、経済にも悪影響が出ている。こういう過程のなかで、日本国内でも理性と良識の声が次第に広がっている」

「嫌韓」の雰囲気拡大しているが

 ―「嫌韓」雰囲気が広がっている。

 「日本にもまともな、理性的な声を出す人が多い。(嫌韓は)政治が意図的に拡散させている。多くの日本国民は侵略戦争への反省の気持ちをもっている。ただ、植民地支配に対する反省は、戦争に対する反省より弱い。36年間の朝鮮半島支配がどのように行われたのか、基本的な事実がちゃんと知られていない。戦争をしたことは悪いと考える日本人の中でも、植民地支配についてよく知らない人が少なくない。何が誤っていたのか、ひとつひとつ明らかにしなければならない。私たちの責任だと思う。ただし韓国も、安倍政権の政策に対して批判するのは当然だが、反日は困る」

安倍外交をどう評価する

 ―安倍外交を評価すると。

 「安倍外交にはうまくいったものが一つもないではないか。四方八方、行き詰まっている。トランプ米大統領の言いなりに兵器を大量購入し、農産物市場を開放するなど、米国従属外交が極みに達している。ロシアにおべっかを使うような(領土交渉)外交は失敗した。韓国に対するどう喝外交も破たんした。安倍首相は『地球儀を俯瞰(ふかん)する外交』だと言うが、地球儀の『蚊帳の外』外交だ。対北朝鮮外交も大失敗ではないか。今までは圧力一辺倒で、『対話のための対話はない』と言っていたではないか。それに対する反省なしに(北朝鮮に対して)対話しようと言うからうまくいかない。さらに、安倍首相が力を注いだ原発輸出もうまくいかなかった」


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