2019年9月4日(水)
愛知 「不自由展」中止1カ月
再開へ市民の行動続く
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愛知県で開催中の国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019の企画展「表現の不自由展・その後」が展示中止にされてから3日で1カ月がたちました。会場とその周辺では、脅迫や政治家の圧力による展示中止に抗議し展示再開を求める市民や作家らの行動が続いています。
会場の一つ、名古屋市の愛知芸術文化センター前では、「見たかったのに」「表現の不自由展再開してください」の横断幕やメッセージを掲げた市民が毎日10時からスタンディングしています。「がんばって」と声をかけていく人、受け取ったビラを見てうなずく人も。ビラを読んでいた名古屋市の60代の女性は「最初は(平和の少女像の展示を)不快だと思った。でも、よく考えれば日本は戦争の反省が足りないのではないか。やる意義がある展示なんじゃないかと感じ始めている」と話しました。
会場内では、作家の田中功起さんがこの日から作品「抽象・家族」の展示を変更。展示室の扉が半分閉ざされ、中に入れなくなりました。展示室の前には、海外作家らが連名で出した声明「表現の自由を守る」が張り出され、田中氏からの手紙が置かれました。この問題で日本人作家が展示を変更するのは初めて。トリエンナーレ全体で、展示を中止や辞退、変更した作家は12組になりました。
変更や中止になった展示室の前では「見れなくなっちゃったんだ」と話す人や、張り出された声明をじっと読む人も。東京都品川区から来た会社員の女性(38)は「トリエンナーレには2010年の最初のときから来ています。小さい頃から美術館に通っていた身として、作品が見られなくなるような問題が日本で起きたことが残念。受け手には見る自由があったはずです」と語りました。