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2019年9月4日(水)

徴用工問題 記者「中国とは和解、韓国とは?」

官房長官「政府の発言、控えたい」

 菅義偉官房長官が2日の会見で、記者から、中国人の強制連行の場合には被害者と日本企業との間で和解が成立したのだから韓国の元徴用工の場合に同じ方法がとれないのかと質問されたのに対して、答弁不能となる場面がありました。

 1990年代以降、中国や韓国からの強制連行問題では、日本鋼管(1999年)や不二越(2000年)、三菱マテリアル(16年)など、加害企業が被害者への謝罪と「見舞金」の支給などで和解した例もあります。中国の強制連行被害者が西松建設を相手におこした裁判では、日本の最高裁が07年4月、裁判上の個人の請求権は日中共同声明により失われたとしながらも、「個人の実体的な請求権までは消滅していない」と判断。日本政府や企業による被害の回復に向けた自主的解決の期待を表明しました。その後、西松建設は被害者らと正式に和解。謝罪し、記念碑を建立、和解金を支払っています。

 会見で、記者がこうした事実を指摘し、「政府間で勝ち負けを争うということではなく、原告・被告双方が受け入れ可能な解決策を模索することも一つの選択肢と思うが」と菅氏の見解をただしましたが、菅氏は「政府の立場で発言することは控えたい」と、答弁を拒否しました。

 日本政府は、戦時中の徴用工に対する賠償を命じた韓国最高裁判決が出た直後、国内の商社やメーカーなどが参加する会合で、「問題は日韓請求権協定で完全に解決ずみ」との見解を示し、「官民が連携して本件に当たりたい」と強調。日本企業が被害者との和解に動かないようくぎを刺しました。

 菅氏が会見で、中国の被害者とは和解したのに、韓国の被害者とは和解できない理由を説明できなかったことは、日本政府の対応がいかに理不尽であるかを示すものです。


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