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2019年9月4日(水)

主張

20年度概算要求

税金の使い方が間違っている

 2020年度政府予算案の編成に向けた各省庁の概算要求が、先月末に出そろいました。

 要求総額は過去最大の105兆円前後で、10月からの消費税の増税強行を前提にした「経済対策」などの予算が追加されれば、総額はさらに膨らむ可能性があります。軍事費が5兆円余と、安倍晋三首相の政権復帰以来、8年連続で前年を上回る一方、圧縮されてきた社会保障費は査定の中で一段と削り込まれる危険があります。平和に逆行し、国民の暮らし応援に背を向けた異常な予算づくりは、やめるべきです。

「骨太方針」にもとづき

 翌年度の予算編成は、毎年7月ごろに概算要求の基本方針が閣議決定され、8月末までに各省庁が財務省に要求を提出します。財務省などの査定や折衝を経て、政府案が年末に閣議決定されます。その政府案が、年明けからの通常国会に提出されて、審議されます。20年度予算の概算要求にあたっての基本的な方針の決定は、参院選後の7月31日でした。

 その方針の中では、年金や医療をはじめとする社会保障の経費は、高齢化などに伴う「自然増」を、5300億円の範囲内に抑えるとタガをはめました。また、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太の方針)」にもとづく「歳出改革」を進めると同時に、「新しい日本のための優先課題推進枠」の名で、安倍政権の“売り物政策”は別枠で要求を認めること、消費税増税に伴う「経済対策」などのために、予算編成過程で積み増しを認めることなどを打ち出しました。

 各省庁が財務省に提出した概算要求は、この方針に沿ったものです。防衛省が決定した軍事費は、今年度当初予算より648億円多い5兆3223億円と過去最大になりました。社会保障を所管する厚生労働省の要求は、今年度当初予算から6593億円増の32兆6234億円ですが、その中身は国民生活を支えるには不十分です。公共事業を担当する国土交通省の要求が今年度当初予算比1・18倍の7兆101億円、国の借金である国債の元利払いに充てる国債費は、今年度より1・5兆円近く多く過去最大の24兆9746億円(財務省の要求)となっています。

 今後の査定では、社会保障費の「自然増」をさらにカットするとして、医療の診療報酬が標的になることが予想されます。これに対し軍事費に含まれる沖縄の米軍基地再編経費や消費税増税への「経済対策」など、金額を明示しない「事項要求」は、総額をいっそう膨らませることになります。

本末転倒の予算改めよ

 本来、国民の税金で賄われる財政は、景気の調整や所得の再配分が役割です。社会保障費を削って、アメリカ言いなりで米国製兵器を“爆買い”するのは大問題です。購入予定のF35B戦闘機6機分のお金で、3万人分の保育所が作れます。国民に消費税の増税を押し付ける一方、効果の確かでない「経済対策」に巨額の予算を投入するのは、本末転倒です。景気の後退がいよいよ明らかになる中で、「増税対策」に巨費を投じるのでなく、増税そのものをやめるべきです。

 本末転倒の予算編成は直ちに中止し、消費税に頼らず国民の暮らしを応援し、経済を再生する経済財政運営への転換が必要です。


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