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2019年8月20日(火)

国立大病院 消費税負担969億円

増税で経営悪化の懸念

 全国42カ所の国立大学病院で、高度医療機器や設備などの購入に支払った消費税分のうち、診療費に十分転嫁できず病院側の負担となった額について、消費税が8%に増税されて以降の5年間で計969億円にのぼったことが分かりました。

 全国の国立大学病院でつくる「国立大学病院長会議」が2014~18年の補てん不足額を試算。今年10月の消費税10%への増税で、さらなる病院経営の悪化につながる懸念が強まっています。

 命と健康にかかわる公的保険医療は消費税「非課税」とされ、医療機関は患者から消費税を受け取っていません。診療に必要な機器やベッドなど消耗品の購入にかかる消費税については、初診料や再診料など診療報酬の上乗せで補てんされる仕組みになっています。しかし、高度医療機器や施設整備で高額の投資を行うと、巨額の消費税負担を余儀なくされるなど、補てん不足となることが指摘されてきました。

 試算によれば、17年度の補てん不足は1病院あたり平均で1・3億円。しかも、42病院の不足を個別にみると、0・3億~5・3億円と大きなばらつきが生じていました。

 消費税10%引き上げに向け、自民・公明両党が昨年末にまとめた19年度与党税制改正大綱は、「診療報酬の配点方法を精緻(せいち)化する」ことで、医療機関種別の補てんのばらつきは是正されるとしています。

 全国保険医団体連合会(保団連)事務局の松山洋主幹は「国立大病院を含む特定機能病院は特に、医療の最後のとりでといわれ、高額な医療機器を導入せざるをえないだけに、どうしても消費税負担で莫大(ばくだい)な持ち出しになってしまう」として、医療の質の低下や人件費などにしわ寄せが押し付けられる懸念を指摘。診療報酬の上乗せでは、個別医療機関で実際に生じている不足分を完全に補てんするものとはならず、「精緻化」でもばらつきは避けられないと強調します。保団連は、消費税増税中止とともに国が責任をもって個々の医療機関の消費税負担額を還付する「ゼロ税率」を適用し、負担解消をはかる抜本的な解決を求めています。

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