2019年8月15日(木)
原水爆禁止世界大会 海外代表に聞く
国際平和ビューロー(IPB)共同議長 ライナー・ブラウンさん
重なり合う平和と気候変動
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若い世代の抱える問題には、背景があります。この20年間に顕著になっているのですが、個人主義と競争、学校で直面する困難です。試験に追い立てられ管理されて、あまり自由がありません。その結果、多くの若者は利己的な行動を取りがちになっています。平和運動がよって立つ連帯に反するものです。
さらにこの背景にあるのは、連帯運動があまり取り組まれていないことです。さまざまな活動を行う組織もますます少なくなっています。1980年代から90年代初頭のような自発的な活動があまり見られなくなっています。
そういう中で、気候変動の問題が急浮上しました。これを例えるなら、水をどんどん熱していき、100度で状態が一気に変わるようなものでしょう。今起こっている若い世代の大規模な行動はそういうものです。私たち平和運動はこの運動と正しい関係を結ぶ必要があります。
私たちが、若い世代に何かを教えるのではありません。若い人たち自身が学ぶのです。若い世代とつながり、彼らが自分たちの置かれている状況を理解するように働きかけ、自分たちのやるべきことを気づかせる。
私は気候変動の運動で、若い人たちは自分たちの責任を理解しているように思います。何が必要か、将来の世代はどうなるのか。重要なのは、平和運動と気候変動の運動には重なり合う部分があるということです。
欧州で若者は、気候変動の問題を解決しないと平和は手にできないと言っています。気候変動と平和との関係に気づいています。これを広げていかねばなりません。それが私たち平和運動の直面している課題です。
それは一歩ずつ始まっています。気候変動の運動と平和運動を一堂に会することが私たちの課題です。この共同の取り組みを2020年、ニューヨークの核不拡散条約(NPT)再検討会議に結び付ける必要があります。
運動を管理しようなどという考え方はばかげています。今の社会は分断されています。興味関心も異なります。
平和運動にも若い活動家が加わっています。しかしより多くの人たちを運動に参加させるという点では、まだ課題が残されている―私はそのように考えます。