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2019年8月9日(金)

カトリックの教えと核兵器廃絶

長崎大司教区大司教 髙見三明さん

 胎内被爆者で、カトリック長崎大司教区の髙見三明大司教は、フランシスコ・ローマ法王が11月に長崎を訪問するにあたり、改めてカトリックの教えと核兵器廃絶への思いを語りました。


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 大量破壊兵器の非人道性は、どの戦争でもありますが、被害者であるがために差別をされたというのは核兵器だけです。

 結婚ができなかったり、精神的にも肉体的にも病気になりながら生活されてきた方々がいます。

 全世界規模で核兵器の削減・廃絶が実現すれば、必然的に、自動的に平和が訪れる保証はありません。しかし、核兵器は世界の平和を脅かし続ける重大な要因のひとつであることに変わりはなく、根絶する必要がある。

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(写真)広島の原爆資料館に置かれているローマ法王のメッセージ

 兵器を製造するのが人間なら、壊すのも人間であり、またそうすべきです。

 バチカンは、20世紀の後半から、核兵器に対し、常に警告し続けてきました。

 1963年にバチカン公会議を開催して、メッセージ「地上の平和」を発表し、核兵器に限らず兵器を撤廃すべきであり、軍備の均衡が平和の条件ではなく、真の平和は相互の信頼の上にしか構築できないと指摘しています。

 国連創設20周年の65年には、ローマ法王として初めて国連で演説し「戦争はもうやめよう! 戦争はもうやめよう! 平和、平和が諸国民と人類を導かなければならない」とアピールしました。

 81年には初めて、広島市の平和公園で「広島平和アピール」を発信し、「過去を振り返ることは将来に対する責任をになうことです」と述べました。

 2010年の「世界平和の日」のメッセージでは、核兵器の存在だけでも地球上の生命と現在と未来の世代の完全な発展を脅かすと強調しました。

 15年の原爆投下70年の時には、核兵器と大量破壊兵器の使用を禁止するよう呼びかけ、戦争に打ち勝つ唯一の方法は、戦争をしないことだと語りました。

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(写真)広島の原爆資料館に置かれている、ローマ法王のメッセージが入った平和アピール碑

 17年に核兵器禁止条約が国連で採択されたことについては、現在のフランシスコ・ローマ法王が、まさに理想的で、これまで求めてきた核兵器廃絶の具体的なものが形になったと歓迎し、禁止条約にいち早く署名・批准しました。

 日本のカトリック中央協議会も、日本政府に対し、禁止条約に署名・批准するよう要望書を提出しています。

 核兵器の被害は、長崎を最後にしなければなりません。ローマ法王には、核保有国や政治家に対して、意識を変えてもらえるよう強いメッセージを発信してほしいと思います。

 「核の傘」は報復のために核兵器を使用するという前提によって成り立っており、「核の傘」に依存しない環境への転換が必要です。核兵器は、いかなる使用も破滅的な人道上の結末をもたらすものです。私たちの宗教的価値、道義的原則に反するものであり、宗教者にとって核兵器の禁止と廃絶は、神聖な責務です。


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