2019年8月8日(木)
主張
同性婚
多様な家族のあり方認めよう
同性婚の実現を求める声が広がっています。全国13組の同性カップルが2月、同性婚が認められないことは違憲だとする国家賠償訴訟をおこしました。世論も同性婚の実現「賛成」が78%と圧倒的多数です(1月公表の電通調査)。
同性婚や選択的夫婦別姓など「ジェンダー平等」の課題が争点となった参院選で、改憲勢力が3分の2を割り込んだことは、誰もが尊厳をもって生きられる社会への重要な足がかりです。多様な家族のあり方を認める制度をつくる機運をさらに高めるときです。
当事者に多大な不利益
日本では、結婚すると、相続権や財産共有・分与請求権、所得税・住民税の配偶者控除、育児・介護休業制度など、法的・経済的な権利と利益が幅広く発生します。異性カップルなら事実婚(内縁関係)であっても、これらの権利は、ほぼ認められますが、同性カップルでは認められません。
病院で家族としての面会・付き添いや、手術の際の同意判断が許されない、民間・公営住宅の賃貸契約ができにくい、などが問題になっています。過去に異性との間にもうけた子どもを同性カップルが養育している場合、片方が死亡した際の子どもの親権が不安定になることなど、異性カップルであれば抱える必要のない物理的・心理的負担が、同性カップルには重くのしかかっています。同性婚が認められてないために、当事者が受けている不利益は多大です。
この現状を打開したいと始まったのが、2月に提訴された「結婚の自由をすべての人に」訴訟です。訴状は、同性婚が不適法とされて婚姻届が受理されない現状は、憲法24条が保障する「婚姻の自由」を不当に侵害し、性的指向など性のあり方を理由に憲法14条が禁じる不当な差別的扱いをするものだ、と主張しています。
憲法24条は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すると定めています。戦前は、旧民法で言う「戸主」の同意が必要だった婚姻を、当事者の自由かつ平等な合意のみで成立することを明確にしたのが、この条文の制定趣旨です。「両性」とあるからといって「同性婚」を禁じたのではなく、むしろ異性・同性を問わずすべての人に「婚姻の自由」を保障した条文であると訴状は指摘しています。
同性婚反対の立場から「子どもを産まないカップルに結婚を認める必要があるのか」「同性婚を認めると伝統的な家族観が壊れる」などの意見が出されます。しかし、異性カップルであれば、子どもを持つ意思などとは関係なく婚姻は認められています、同性カップルには認めないというのは明確な差別です。子どもを産み育てるかどうかを決めることは、個人の生き方の根本にかかわることです。“父母がいて、子どもがいる”という一つの家族像だけを、「伝統」だと言って国民に押し付けることは、あってはなりません。
日弁連が国に意見書
参院選後の7月25日には日本弁護士連合会が、同性婚ができないのは「憲法に照らして重大な人権侵害」だとして国に法改正を求める意見書を出すなど、新たな動きもあります。
日本共産党は世論・運動と手を結び、先の通常国会に他の野党と共同提出した「婚姻の平等」法案の実現に力を尽くします。