2019年8月2日(金)
日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が1日、臨時国会開会に当たって開かれた議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。
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臨時国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。
まず、参議院選挙におけるみなさんの大奮闘に、心からの敬意と感謝を申し上げます。本当にお疲れさまでした。(拍手)
参議院選挙の結果について、常任幹部会として声明を出しておりますが、私は、それを踏まえて、いくつかの点をのべておきたいと思います。
改憲勢力「3分の2割れ」、自民党過半数割れ――安倍・自民党への厳しい審判が下された
今回の参議院選挙の全体の結果をとらえるさいに何よりも重要なことは、自民、公明、維新などの改憲勢力が、改憲発議に必要な3分の2を割ったことにあります。「期限ありきの性急な改憲の動きには賛成できない」。これが参議院選挙で下された主権者・国民の民意であることを確認したいと思います。(拍手)
そのうえで、私が強調しておきたいのは、この「3分の2割れ」の中身についてであります。自民党は、改選比で9議席を減らし、参議院の単独過半数を大きく割り込みました。参議院の新しい定数は245議席、過半数が123議席に対して、自民党の新勢力は114議席、9議席も過半数を割り込みました。自民党は、2016年の参議院選挙で27年ぶりに単独過半数を獲得したわけですが、それを失いました。
安倍首相は、参議院選挙の結果を受けた記者会見で、「国民の皆さまからの力強い信任をいただいた」とのべました。これは事実と違います。安倍・自民党への厳しい審判が下されたのが参議院選挙だったということを、私は強調したいと思います。(拍手)
首相最側近の“議長交代”発言――救いようのない「おごり」とともに、追い詰められたものの「あせり」を示す
そうしたなかで、とんでもない動きが政権・与党のなかから起こっています。安倍首相の側近中の側近、萩生田(光一)自民党幹事長代行は、「有力な方を議長に置いて憲法改正シフトを国会が行っていくのが極めて大事」と発言しました。この発言は、日本国憲法が定めた三権分立を無視した、行政府から立法府に対する乱暴な介入であり、断じて許すわけにいきません。
この発言からは、「私は立法府の長」ということを3回も繰り返した安倍首相の発言を思い起こすではありませんか。行政府と立法府の区別もつかない政権に、この国の政治をゆだねるわけにいきません。この発言は、この政権の救いようのない「おごり」を表すものであり、同時に、追い詰められたものの「あせり」がにじむ発言だと思います。
わが党は、安倍政権に対して、選挙で下された民意を真摯(しんし)に受け止め、改憲策動を中止することを強く求めるものであります。(拍手)
市民と野党の共闘での10議席勝利――「共闘効果」がアップ、3年間の共闘の発展を示す
こうした結果をつくるうえで、市民と野党の共闘は、決定的な役割を果たしました。私たちは、全国32の1人区のすべてで野党統一候補を実現し、10の選挙区で激戦を制して勝利を勝ち取りました。6年前の参議院選挙では、1人区で野党が獲得した議席数は2議席でしたから、10議席は文字通りの躍進といっていいのではないでしょうか。
共闘の内容が、政策的合意の面でも、選挙の実際の協力の面でも、大きく前進したことは、全国からの報告でも生き生きと語られています。
「共闘効果」がアップしました。共闘してたたかった4野党の比例票合計と比較して、野党統一候補の得票が上回った選挙区は、前回の28選挙区から29選挙区に拡大しました。得票率の比較では、32選挙区合計で、120・9%から127・4%に、これも前進しました。ここには、市民と野党の共闘が、この3年間、さまざまな困難や曲折を経ましたけれども、前進・発展したことがはっきり表れているのではないでしょうか。
日本共産党が、全国どこでも共闘の成功のために誠実に努力し、その発展に貢献することができたことをみんなの確信にして、総選挙に向けて市民と野党の共闘をさらに大きく発展させようではありませんか。(拍手)
選挙区で現有3議席確保は重要な成果――大阪では次の機会に必ず巻き返しをはかろう
日本共産党の結果は、選挙区選挙では、東京で吉良よし子さん、京都で倉林明子さんが、現有の議席を大激戦を勝ち抜いて守り抜きました。埼玉で伊藤岳さんが21年ぶりに新たな議席を獲得し、わが議員団に新たに迎えることができました(拍手)。選挙区選挙で全体として現有3議席を確保できたことは、重要な成果であり、ともに喜びたいと思います。(拍手)
大阪で辰巳孝太郎さんの議席を失ったことは悔しい結果でありますが、私は、大阪のたたかいは、安倍・自公政権とその別動隊――(日本)維新の会という「二重の逆流」に対して、多くの市民のみなさんとともに正面から堂々と立ち向かった立派なたたかいだったと思います。次の機会には必ず巻き返しをはかる決意をみんなで固めようではありませんか。(拍手)
比例代表選挙の結果について――なぜ2017年総選挙との比較が大切になるか
比例代表選挙で、わが党が改選5議席から4議席に後退し、仁比聡平さんの議席を失ったことは残念であります。比例でも、次の機会には必ず巻き返しをはかる、これもみんなで誓い合おうではありませんか。(拍手)
同時に、常任幹部会声明では、今回の参議院選挙の比例代表で獲得した得票数と得票率を、「この間の国政選挙の流れの中でとらえることが大切」だとのべ、17年総選挙の比例代表と比較すれば、得票数を440万票から448万票に、得票率を7・90%から8・95%に前進させたことを強調しております。
なぜ、2017年総選挙との比較が大切になるか。私は、二つの点を強調したいと思います。
一つは、17年総選挙は、共闘を破壊する突然の逆流とのたたかいを通じて、野党のなかでの政党配置、力関係に大きな変化が起こった選挙になりました。わが党は、逆流と果敢にたたかい重要な役割を果たしましたが、同時に、党自身としては悔しい後退を喫した選挙となりました。ここから出発して、どこまで押し返したか。私たちは、このことを、今年の二つの全国選挙――統一地方選挙と参議院選挙の結果をはかる基準に一貫してすえてきましたけれども、それは生きた政治の流れのなかで私たちの到達をはかる最も合理的な基準だと思います。この基準にてらして、全党の奮闘で前進を勝ち取ったことに深い確信をもって、すすもうではありませんか。(拍手)
いま一つ、次期総選挙を展望した場合にも、17年総選挙を起点に、前進したのか後退したのかが、きわめて重要になってきます。17年の総選挙では、比例代表で、わが党は7・90%、獲得議席は11議席でした。次期総選挙で今回獲得した8・95%を獲得すれば、比例で現有を確保し伸ばすことができます。もちろん、われわれはこれを上回る躍進を果たす決意であります。こうして、17年総選挙を起点に比例代表の得票・得票率の増加を勝ち取ったことは、次期総選挙で躍進を勝ち取るうえでも、「重要な足がかり」となることを強調したいと思います。
私たちは、この参議院選挙を、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進という二つの大目標を掲げてたたかいました。この二つの大目標にてらして、全体として、みんなの力で、そして共闘の力で、大健闘といえる結果をつくったことに確信をもって、次のたたかいにのぞもうではありませんか。(拍手)
8、9月――総選挙での躍進にむけ、強く大きな党をつくる新たな一歩を踏み出そう
最後に、8月から9月にかけてのとりくみについてのべます。
わが党は、7月29日に全国都道府県委員長会議を開催し、「成果を確信に」「悔しさをバネに」、来たるべき総選挙に向けて強く大きな党をつくる仕事にただちにとりかかることを呼びかけました。
二つの目標を確認しました。
一つは、すべての支部・グループが、9月末までに1人以上の新しい党員を必ず迎えるということです。
もう一つは、「しんぶん赤旗」読者拡大では、すべての都道府県・地区委員会が、8月、9月と、毎月増勢を勝ち取り、読者拡大でも党勢の上げ潮の流れをつくりだすということであります。
参議院選挙でのわが党の政治論戦におけるリードは、多くの国民に「政治は変えられる」という希望を伝え、自民党を追い詰めるうえでも重要な貢献となりました。日本共産党への新しい支持、共感、関心が広がっております。いま強く大きな党をつくる条件と可能性は大いにあると思います。
憲法9条改定を許さないたたかい、消費税増税を阻止するたたかいをはじめ、あらゆる分野で公約実践のたたかいにとりくみながら、この夏に、党の自力をつけ、総選挙を勝ち抜く党をつくる新たな一歩を踏み出す。そういうたたかいの先頭に議員団が立つ決意を固めあって、ごあいさつといたします。がんばりましょう。(「よし」の声、大きな拍手)