2019年7月31日(水)
再稼働対策1.2兆円
柏崎刈羽 コスト高は明白
東電 施設費 試算の1.7倍
東京電力ホールディングス(HD)が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)について、「安全」対策費を従来試算の1・7倍の約1兆1690億円に増やしたことが30日までに、分かりました。テロ攻撃などに備えて国の新規制基準で義務付けられた対策施設の建設費などがかさむため。これらの費用は各原発でも膨らみ続けており、原発のコストの高さが改めて浮き彫りになっています。
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東電はこれまで、柏崎刈羽の「安全」対策費を約6800億円と見積もっていました。新規制基準に適合させるため、原発建屋への航空機衝突などで重大事故が起きた場合でも、炉心冷却などに取り組めるための対策工事費を大幅に増やします。地震発生時の液状化や火災防護に備えるコストも積み増します。
柏崎刈羽原発は6、7号機が2017年に原子力規制委員会の安全審査に“合格”しましたが、再稼働に必要な地元自治体の同意を得るめどは立っていません。
福島第1原発事故が収束しないなかで処理費用がすでに10兆円を超え、費用がどこまで膨らむか見通せないにもかかわらず、再稼働をねらうことに強い批判があります。
原発は商業的に成り立たず
新潟大学名誉教授(地質学)・県「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」委員 立石雅昭さんの話
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再稼働をするかどうかとは別に、原子炉が存在し、テロの可能性がまったくゼロではない以上、危険性を除去するという意味で安全対策の強化はしなければなりません。
しかし莫大(ばくだい)な費用をかけたからといって安全だという論理にはなりません。再稼働に対して多くの国民がもっている不安や危惧に十分に対応できる保証はありません。
今回の対策をいったいどんな装置で行うのか本当に機能するのかどうかなど、まだ見えていないのが現状で、もっと計画内容を明らかにする必要があります。
安全対策の費用は非常に膨大になり、実際は国民が負担することになります。それも限界がくると思います。
原発はもはや商業的に成り立ちません。国民負担という日本独特のシステムの中で、膨大な費用をかけるだけの価値のあるものとは思えません。