2019年7月26日(金)
やまゆり園事件3年 人間を大事にする社会へ
セミナーで考える 東京
2016年7月26日に相模原市の障害者施設「やまゆり園」で起きた殺傷事件から3年となるのを前に、日本障害者協議会(JD・藤井克徳代表)主催のサマーセミナー「価値なき者の抹殺 優生思想―私たちはどう立ち向かうか―」が25日、国会内で開かれました。会場いっぱいの300人を超える参加者が訪れ、事件の被告が障害者を価値がない存在とみなし、殺傷するに至った優生思想の社会的背景などについて考え合いました。
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インターネットで調べて参加した、大学で福祉を学ぶ男性(20)=東京都内=は「障害のある人を役に立たないというけれど、排除している壁は社会の側にあるんだと改めて認識しました。障害者の置かれている状況をよりよくしていくため、当事者の話を聞いて自分にもできることを見つけ、行動していきたい」と語りました。
介護関係のパートで働く都内在住の女性(55)は「今の日本社会の中で、人間が大事にされていないことが事件の背景にあると考えてきた。福祉のことを頑張ろうと思って就職しても、給料や労働条件があまりに評価されない中で、障害者を“役に立たない”とみなすようになってしまうおそれがある」と指摘。障害のある人が特別な存在ではなく誰もが障害を負う可能性があり、障害者福祉の問題は人ごとではないと話しました。
過労でうつ病になり、自殺未遂に至った体験から、自殺予防対策の推進を訴え活動している吉田銀一郎さん(81)=東京都杉並区=は、福祉切り捨ての政治の在り方について「当事者の話を聞こうとしない状況を変える必要がある」とのべました。