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2019年7月25日(木)

主張

沖縄・新基地の審判

民意に従い きっぱり断念せよ

 参院選の沖縄選挙区(改選数1)で、名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する「オール沖縄」の高良鉄美氏が、自民党の公認候補(公明・維新推薦)に6万票を超える大差をつけ、初当選しました。高良氏の勝利は「新基地反対の沖縄の民意が強固で揺るがず、決して諦めない県民の決意を示すもの」(沖縄タイムス22日付)です。辺野古の新基地建設は、埋め立て予定海域に軟弱地盤が広がるという技術的な問題だけでなく、政治的にも展望がないことはいよいよ明らかです。安倍晋三政権はこれ以上、民意を無視して埋め立てを続けることをやめるべきです。

「オール沖縄」の圧勝

 2012年12月に発足した今の安倍政権は、それまでのどの政権よりも強権的に辺野古の新基地建設を推し進めてきました。

 安倍政権と自民党本部は13年11月、同党の沖縄県選出国会議員と沖縄県連に圧力を加え、米軍普天間基地(宜野湾市)の「県外移設」という公約を撤回させ、辺野古新基地容認の立場に転じさせました。その上で、同年12月には、沖縄振興費の増額など「札束」の力で、当時の仲井真弘多知事に辺野古の埋め立てを承認させました。

 これに対し沖縄県民は、知事選や国政選挙(選挙区選挙)で辺野古新基地ノーの意思を繰り返し示してきました。

 沖縄では13年以降、▽参院選3回(13年7月、16年7月、今回)▽知事選2回(14年11月、18年9月)▽衆院選2回(14年12月、17年10月、選挙区は1~4区)▽衆院3区補選1回(今年4月)が行われてきました。このうち「オール沖縄」の候補は、17年10月の衆院4区を除く残り全てで勝利しました。「オール沖縄」の圧勝です。

 しかも、今年2月の県民投票では、新基地建設のための辺野古埋め立てに「反対」が投票者数の7割を超えました。

 安倍政権は、憲法が保障した民主主義や地方自治を踏みにじり、違法・無法な手段で辺野古の埋め立てを強行しています。こうしたなりふり構わぬ姿勢は県民の怒りをかきたて、新基地建設反対の意思をますます強固にしています。

 沖縄県は今月17日、県による辺野古埋め立て承認撤回を取り消した石井啓一国土交通相の裁決は違法だとして、福岡高裁那覇支部に提訴しました。

 県は昨年8月、仲井真県政が行った辺野古埋め立て承認を撤回しました。これに対し防衛省沖縄防衛局は、国民の権利救済が目的の行政不服審査法を乱用し、県の撤回処分の取り消しを石井国交相に申し立てました。国交相は今年4月、沖縄防衛局の求め通り、撤回を取り消す裁決を下しました。

 玉城デニー知事が「沖縄防衛局と国交相は内閣の一致した方針に従って辺野古埋め立て工事を進める政府の機関であり、裁決は選手と審判を同じ人物が兼ねているようなもので、自作自演、結論ありきで公正さに欠けている」と厳しく批判したのは当然です。

埋め立ての破綻明白

 辺野古の埋め立てをめぐっては、難工事が必至の軟弱地盤の存在が判明し、新基地の完成時期も、全体の工事費もいまだ明らかにできず、破綻は明白となっています。

 安倍政権は今こそ、沖縄の民意に従って、新基地建設をきっぱり断念すべきです。


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