2019年7月24日(水)
「体調悪化で自殺者も」
いわき市民訴訟 原告が証言
|
福島第1原発事故被害の完全賠償と原状回復を国と東京電力に求める、いわき市民訴訟(伊東達也原告団長)の第36回口頭弁論が23日、福島地裁いわき支部(名島亨卓裁判長)で開かれ、原告本人尋問が行われました。
高齢の母親を抱えて避難できなかった矢内あけみさん、新日本婦人の会いわき支部事務局長の阿部節子さん、障害者施設で働く菅原隆さんの3人が証言しました。
事故当時、母と2人暮らしだった矢内さん。「テレビなどで報道される情報に震える思いでいました。自宅の隣近所は次々と避難し、周りの人たちはいなくなりました。いわき合同庁舎の放射線量が毎時23・7マイクロシーベルトとなった3月16日、母親を連れて茨城県の親戚を頼り避難しました」と証言しました。
阿部さんは、息子が有機農業を志し、「環」というグループに所属していたが、原発事故で活動が消滅してしまったと証言。事故直後、会員の安否確認の電話をかけたものの、200人中10人にしか連絡が取れないほど大混乱だったとのべました。
菅原さんは当時、社会福祉法人「希望の杜」福祉会の常務理事(現理事長)で、身寄りがない精神障害者25人の支援をしていました。環境の激変で体調を悪化させ、自死にいたる例も出る中、支援事業の建て直しに奔走しました。
「被害は(8年過ぎても)続いています。自宅前の庭は汚染され12万ベクレルもの放射性物資が検出された」と証言しました。