2019年7月17日(水)
被害者に寄り添って
避難者訴訟控訴審 原告が訴え
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福島県沿岸部の双葉町、富岡町、楢葉町、浪江町などの住民が東京電力に損害賠償を求めた福島原発避難者訴訟(早川篤雄原告団長)の控訴審第5回口頭弁論が16日、仙台高裁(小林久起裁判長)で開かれ、楢葉町から避難した原告4人の本人尋問を行いました。
左官業を50年間やってきた76歳の男性は「放射線量が高くて今も帰れません。私の住む23軒の隣近所のうち11軒しか戻っていません。医療機関が再開していなくて逆流性食道炎、妻の膠原(こうげん)病の治療はいわき市までいかなければなりません。原発事故さえなければ息子や孫たちと一緒に暮らせた」と陳述しました。
広野町で薬局を営んできた薬剤師の女性(61)は「店を再開させるのに途方にくれています。町は7割が戻ったといっていますが実感がありません」と証言しました。
金井直子さんは、母が出身地の大熊町にある先祖の墓の周りがフレコンバッグで覆われていることに「死んでからも故郷はなくなっちゃうんだね。悔しい」と語っていると証言。「一審の判決は不当判決(昨年3月)です。一生懸命訴えてきたのに、被害者に寄り添ったものではありませんでした。地元が声を上げないといけないと、裁判などやったことのないものたちが訴えていることを分かってほしい」と涙で訴えました。
次回29日は環境経済学が専門の寺西俊一・帝京大学経済学部教授が証人にたちます。