2019年7月12日(金)
帰還 一日も早く
原発津島訴訟 住民が陳述
地裁支部
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東京電力福島第1原発事故で、避難を強いられている福島県浪江町津島地区の住民約500人が、国や東電に原状回復と損害賠償などを求めた津島原発訴訟の第20回口頭弁論が11日、福島地裁郡山支部(佐々木健二裁判長)で開かれ、原告の今野幸四郎さん(82)、武藤茂さん(70)にたいする本人尋問が行われました。
今野さんは津島地区で5代目になる酪農家。「2頭から始めた乳牛は、東京電力福島第1原発事故前は260頭になっていました。人間が逃げるのに精いっぱいで、殺処分するほかなく、そのときの(牛たちとの別れを思うと)今も涙がこぼれます。牛たちの古里も奪われました」と陳述しました。
「まったく先は見えません。朝は、避難先の本宮市からわが家の方向を見て手を合わせています。津島の自然豊かな風景を夢に見ます。一日も早く自由にわが家に帰れるようにしてほしい」と、望郷の思いを訴えました。
武藤さんは大工をしながら農業を営む兼業農家。「農業をしながら自給自足を夢見ていましたがかなえられません。自分で設計施工した自宅は、(高い放射線で)恐怖を感じます」と、8年が過ぎても戻れない実態を証言しました。