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2019年7月11日(木)

韓国向け輸出規制

事実上「徴用工」への対抗措置

「禁じ手」で日韓関係壊す安倍政権

 日本政府が1日に発表した韓国向け半導体材料の輸出規制強化が日韓関係に亀裂をもたらしています。政府は繰り返し否定するものの、元徴用工問題に対する報復措置であることは明らかであり、政治的な紛争の解決に貿易問題を使う「禁じ手」(日本共産党の志位和夫委員長)です。八方ふさがりになり、進路が見えなくなった安倍外交の暴走そのものです。(桑野白馬)


 経済産業省は1日、「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた」として、「韓国との信頼関係の下で輸出管理に取り組むことが困難になった」と表明。スマートフォンのディスプレーに使われる「フッ化ポリイミド」などの3品目について輸出規制する方針を表明しました。これらは武器に転用されるおそれがある汎用(はんよう)品として、国際的な輸出管理の対象になっている品目です。

 世耕弘成経産相は2日の記者会見で、「対抗措置ではない」と述べた上で、元徴用工問題について「G20(首脳会議)までに満足する解決策が得られなかった」ため、「韓国との信頼関係が著しく損なわれた」と指摘。安全保障上の輸出管理は信頼関係が前提のため、規制強化に踏み切ったと説明しました。

 さらに安倍晋三首相は7日のフジテレビの党首討論で「徴用工の問題で、国と国との条約(日韓請求権協定)を守らない国であれば(安全保障上の)貿易管理をしているかどうかわからないと考えるのは当然だ」などと述べ、露骨な韓国敵視の姿勢を示しました。

 ここまで表明していながら、なぜ「徴用工問題への対抗措置ではない」と言えるのか。その根拠として、首相は「不適切な事案があった」と述べます。しかし、その具体的な内容は明らかにしておらず、あったかどうかも分かりません。

 そもそも対話を拒んだのは日本側です。6月末に大阪で開催されたG20首脳会議で安倍首相は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が面会を要請していたにもかかわらず会談を拒否。議長国でありながら非礼な対応をしたのです。

 政府は一刻も早く、2国間協議を再開すべきです。そうしなければ日韓関係は悪化の一途をたどり、国益を損ねることになります。


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