2019年7月11日(木)
安倍首相が粗雑な反論
「マクロ経済スライド廃止で40年代に積立金枯渇」
日本共産党の論戦で、基礎年金(国民年金)を年間7兆円削減する「マクロ経済スライド」に固執する安倍晋三首相の論拠が次々崩れるなか、安倍首相が日本共産党の年金積立金の活用提案を攻撃しています。
安倍首相は7日のNHK番組の党首討論で、「共産党が主張しているようにマクロ経済スライドをやめてしまえば、今の40代が年金を受給する段階には積立金は枯渇、ゼロになっていく」と述べました。
日本共産党がマクロ経済スライド廃止の財源として、安倍政権が株価のつり上げに使っている約200兆円の年金積立金活用を提案していることにかみついたものです。
しかし、安倍首相の主張は“マクロ経済スライドの廃止に必要な財源7兆円をすべて積立金で賄えば、積立金は二十数年で底を突く”という、非常に粗雑な議論です。
マクロ経済スライドは今後二十数年かけて少しずつ基礎年金を減額していく仕組みです。したがって、これを廃止するために今すぐ年間7兆円が必要になるわけではありません。7兆円は、マクロ経済スライドによる減額が完了した2040年代の数字です。
共産党の提案 財源は「三つ」
そもそも、日本共産党は、マクロ経済スライド廃止の財源として、(1)高所得者優遇の年金保険料の見直し(2)積立金の活用(3)賃上げと非正規労働者の正社員化による担い手強化―の三つを一体で提案しています。積立金だけに頼るような財源提案ではありません。
年収1千万円で頭打ちとなっている年金保険料の上限を、健康保険と同じ年収2千万円に引き上げれば、1兆円規模の財源を生みだせます。
日本共産党は、こうした提案を国会質疑やテレビの党首討論などで安倍首相に直接説明しています。安倍首相が知らないはずはありません。
安倍首相が、40年代に積立金がゼロになると信じているなら、首相がいかに年金制度を知らないかを示したものにほかなりません。ゼロにならないと知っていて日本共産党を攻撃しているとすれば、日本共産党の提案を意図的に歪曲(わいきょく)した“ためにする議論”にすぎないことになります。