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2019年7月10日(水)

やっと認めた 涙出た

ハンセン病患者家族 抱擁

国控訴断念 原告「謝罪し一括救済を」

 原告らは涙を流し、元患者や支援者と抱き合って握手しました。ハンセン病患者の強制隔離政策により、患者の家族が差別を受けたとして国に謝罪と損害賠償を求めて訴え、熊本地裁が6月28日に国の責任を断じた「ハンセン病家族訴訟」。控訴しないとした政府の決定を受けて原告と弁護団は9日、国会内で記者会見を開きました。


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(写真)抱き合い、涙を流して喜ぶ(左から)原田さん、黄さん、奥さん=9日、衆院第1議員会館

 「当然のこととはいえホッとしている。3・7億円という賠償額は問題ではない。お金をどれだけ積まれても私たちが受けてきた差別や偏見には代えがたい。ハンセン病(隔離政策)とは一体何だったのか」と語った林力原告団長。「国はなぜ世界に例のない隔離政策を延々と続けてきたのか。そのため患者や家族がどんな人権侵害や差別に耐えなければならなかったのか。国は誤った政策のもとで培われた偏見、無知の解決に全力を注いでいただきたい」と述べました。

 黄光男副団長は「名前を明かせない原告もいる。この問題を知らない人に理解してもらい、堂々と顔も名前も出せるようにしたい。ハンセン病を理由にした差別は許されない」と訴えました。

 原告の原田信子さんと奥晴海さんは、安倍首相に面会と謝罪を求めました。

 全国ハンセン病療養所入所者協議会の藤崎陸安事務局長は集会で、「療養所の入所者は高齢で(この訴訟運動に)参加できないが、思いは原告と同じ。まだ解決に遠い部分もあるので全面解決に向けて頑張りたい」と話しました。

 弁護団共同代表の徳田靖之弁護士は「判決の損害認定にはいくつか問題がある。金額が低いことと原告をランク付けしていること。一律解決に向けて国と協議したい」と述べました。

 原告団と弁護団は声明を発表し、安倍首相が家族原告と面談して被害を聞き、謝罪し、被害者全員に対する一括一律の被害回復制度を創設することを求めています。


幅広い人たちの救済措置が課題

 元ハンセン病国家賠償請求訴訟西日本原告団副団長で熊本県合志市の療養所「菊池恵楓園」入所者自治会会長の志村康さんの話 安倍首相に対し、家族訴訟の原告団と面会すべきだという運動に発展する前に、熊本地裁勝訴判決が確定し、驚いています。国は熊本地裁判決に対し、控訴期限ぎりぎりまで態度を示さないと思っていました。参院選が絡んでいるんだと思います。判決は確定しましたが安倍首相は原告らと面会し、謝罪すべきです。

 社会内にあるハンセン病患者や家族への差別は、すさまじいものがあります。家族訴訟で原告になる人は少ないのではと思っていたところ、あっという間に561人が立ち上がりました。8日にも、恵楓園の自治会に問い合わせがありました。そのなかで実名を名乗れる人はわずかです。

 今後、広く家族の人たちが補償を求めることになると思います。救済の範囲をどのようにするのか。実名を出さなくても救済措置が取られるようにすることが課題です。

 国会議員はよく動いてくれています。日本共産党の仁比そうへい参院議員(比例候補)もとても奮闘しています。


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