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2019年7月8日(月)

イラン、ウラン濃縮率超過

核兵器製造の可能性に懸念

 【カイロ=松本眞志】イラン外務省のアラグチ次官と原子力庁のカマルバンディ報道官らは7日、首都テヘランで会見し、「核合意」の部分的履行停止措置の第2段階に入ったと発表しました。カマルバンディ氏は、合意が定めたウランの濃縮率3・67%を超過し、5%に到達すると述べました。濃縮率の上限を超過したことで、欧州諸国とのあつれきが高まり、核兵器製造が可能な90%台に進むことも懸念されています。


 イランのロウハニ大統領は、今年5月、原油・金融取引の制裁緩和で進展がない場合、今月7日を期限に「核合意」の部分的履行停止を拡大すると宣言していました。欧州の合意署名国は、イランに対して合意順守を説得。英仏独は、今年1月に設置された米国の制裁を回避して対イラン貿易を行う「貿易取引支援機関(INSTEX)」の運用を6月に開始しました。

 6月にウィーンで行われた「核合意合同委員会」の外務次官級会合で、イランのアラグチ外務次官は欧州諸国の努力を認め、会合でも「進展」があったと評価しました。一方、イランの要求に対して、INSTEXの対応は「不十分だ」とも指摘。イラン側は、欧州の努力が「あまりに小さく、あまりに遅い」と不満を募らせてきました。

 問題の根源は、昨年5月のトランプ米政権による一方的「合意」離脱と対イラン制裁再発動にあります。米国は事態を悪化させた責任を不問にしただけでなく、制裁対象をイランと交易するすべての国に広げようとしています。また、ペルシャ湾に軍隊を派遣し、無人機飛行などの挑発行為によって、戦争を誘発する危険な動きを強めています。

 ロウハニ氏は先週、米国を含む「合意」署名国すべてが、自らの誓約を実施するならば、イランがこれまでとってきた措置を改めて合意を完全順守すると声明しました。


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