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2019年7月8日(月)

2019参院選 希望を語ろう

学校給食無償化 国の責任で

 国の責任で学校給食の無償化を―。参院選に向けて日本共産党は、お金の心配なく学び、子育てができる社会の実現を目指し、憲法で定められている「義務教育の完全無償化」を掲げています(「くらしに希望を―三つの提案」)。各地で進む学校給食無償化のとりくみや、国の責任で行う意義、共産党提案を歓迎する声を取材しました。(松浦裕輝)


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(写真)9月までに10万人分を目標に取り組んでいる「学校給食費の無料化を求める会」の署名用紙

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(写真)子育て世代と「新学期はお金がかかって大変」などの対話がはずんだ、入学おめでとう署名行動=4月7日、福島県郡山市(「学校給食費の無料化を求める会」提供)

広がる自治体助成

 公立小中学校の給食費の保護者負担を自治体が全額補助する制度や、一部を助成する制度は、子育て支援や定住しやすい環境づくりを目的に全国で広がっています。保護者や市民の運動と呼応し、共産党の地方議員が自治体の支援を求め、変化をつくりだしてきました。

 埼玉県神川町では今年の4月から町内の小中学生の給食無償化を実施しています。同町の給食費は、小学校が4万2570円、中学校が5万820円(いずれも年額)で、これまでは第3子の減額制度があるほかは全額保護者負担でした。

 共産党の川浦まさこ町議は、2015年に当選した当初から議会で、子育て世代の苦しい生活の実態を明らかにするとともに学校給食無償化を求めてきました。川浦町議は「憲法にのっとってやるべきだと何度も求めてきた。(保護者から)『楽になった』と歓迎の声もよせられている」と話します。

 自治体の半数以上が何らかの給食費補助を行っている福島県では昨年の9月、県内すべての市町村で学校給食無償化を目指す「学校給食費の無料化を求める会」が新日本婦人の会などの民主団体や個人で結成されました。今年9月末までに10万人分を目標にした署名や学習会にとりくんでいます。署名活動はおもちゃ屋のあるスーパーなどでとりくみ、子育て世代が自らすすんで署名したり、お礼の手紙が届いたりするなど好評です。

 昨年9月には県内の59市町村のうち県と51市町村議会へ陳情・請願を行い、25市町村で国への意見書が採択されました。

 「求める会」事務局長の村上裕美さんは今年度から比較的大きな自治体でも助成が始まることに「声を上げれば少しずつ変わる」と自信を深めています。共産党の提案について「歓迎します。そもそも憲法では義務教育は無償でとうたっている。国の責任でやってほしい」と期待を寄せます。

給食は教育の一環

 学校給食法は食を通じた子どもの心身の健全な発達を目的とし、食育の推進をうたっています。学校給食は教育の一環として実施されているのです。

 「学校給食は子どもの成長発達を支える大切なもの」と話すのは大阪の小学校で栄養教諭を務める山下友子さん(58)=仮名=です。献立の作成や衛生管理、食育に携わります。「食べることを通じて学べることはたくさんある」と、地場産物や旬の食材を使って季節感や地域の食文化を伝える工夫をしてきました。

 山下さんの勤務先では経済的に困っている家庭の小中学生が多く、親の多忙や深夜業に就く人の多さから、子どもと一緒に晩ご飯を食べる時間をとれず、朝ごはんの準備ができない家庭が増えているといいます。きちんとした食事が難しい中で、学校給食が栄養バランスや豊かな食事の体験を支えています。

 山下さんは「国の責任で学校給食無償化が実現すれば、給食実施率の向上にもつながる。地域の特色を出せる自由な予算として実現してほしい」と共産党の提案に期待しています。

 保護者が負担する学校給食費は公立小中学校の場合年平均で約4・4万円です。副教材費など義務教育にかかるさまざまな費用の中で最も重い負担となっています(文部科学省調査、2016年)。

 専門学生と大学生の息子、小学5年生の娘を育てる福島市在住の佐藤晃子さん(47)は、「教育費の負担がすごく大きい」と憤ります。末娘の給食費はPTA会費とあわせて月額約8千円です。佐藤さんは「娘は給食をとても楽しみにしていて、ソフト麺の日はテンションが高い。忙しさで朝晩簡単なものしか作れないときもあるから、バランスを考えた給食はすごくありがたい」と話します。

 佐藤さんは同世代の友人にも「学校給食費の無料化を求める会」の署名を広げています。「学校にいる一日の生活が教育だと思うので、国が責任もって無料にしてほしい」

無償化に背向ける安倍政権

共産党、一貫して要求

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(写真)学校給食無償化問題で質問する吉良よし子議員=2018年12月6日、参院文科委

 18年には、37の自治体が、国に給食無償化や一部助成を求める意見書を提出しました。しかし、安倍晋三政権は、貧困世帯への対策としては就学援助で支援しているとして、無償化に背を向けています。

 政府はすでに約70年前、日本共産党参院議員の質問に対して、義務教育の無償を「できるだけ早く広範囲に実現」したいとして、学用品、学校給食費などの無償も考えていると答弁しています(1951年、文部委員会での答弁)。昨年12月には、参院文教科学委員会で共産党の吉良よし子議員が、51年当時の認識を政府が継承していることを確認し「国の責任で学校給食の無料化を」と求めました。

 憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」と定めていますが、現在無料なのは授業料と教科書だけです。すべての子どものすこやかな成長のために学校給食の無償化をはじめとした義務教育の完全無償化が必要です。

 学校給食無償化には年間約4451億円の経費が必要と試算されています(18年12月参院文科委での文科相答弁)。共産党は、「くらしに希望を―三つの提案」で、提案を実施するための財源として、消費税にたよることなく、▽大企業への優遇税制をあらため、中小企業なみの負担を求める(4兆円)▽富裕層優遇の証券税制をあらため、最高税率の引き上げをはかる(3・1兆円)▽米軍への「思いやり予算」の廃止(0・4兆円)と、7・5兆円分を確保するとしています。その一部を使えば、無償化は可能です。


戦闘機より教育にお金かけて

 元小学校栄養教諭・「より豊かな学校給食を目指す京都連絡会」事務局長 金井多恵子さんの談話  学校生活にとって給食は欠かせない存在です。栄養補給だけでなく一緒に食べることでコミュニケーションが豊かになり、心身の成長につながります。給食の食材やそれに関わる人、調理方法など、地域の伝統や日本の食文化を伝えることも食育として大切です。

 人間として豊かに生きるために必要なことを、食べる体験を積み重ねて学ぶ教育の場です。

 貧困によって、家に食べるものがなく、給食が唯一の栄養源という子どもたちもいます。忙しい生活、加工食品や外食の利用が増えるという食生活の変化が進む中、成長期の子どもたちの健康と人間的発達を保障する学校給食の役割はますます重要で、教育としての給食内容の充実が求められています。

 共産党の提案のように、国は学校給食の無償化にぜひとりくんでほしい。給食費が払えない、家計を圧迫すると、親も子もしんどい思いをするということがなくなります。戦闘機に高いお金を使うのではなく、子どもの教育にもっとお金を使うべきです。

 京都をはじめ全国でも、中学校給食が実施されていない地域があります。給食の実施と無償化を少しでも早く実現してほしい。

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