2019年7月6日(土)
日テレ系「news zero」党首討論
志位委員長の発言
4日夜放送の日本テレビ系番組「news zero」で行われた党首討論は、「老後資金で公的年金以外に2000万円必要」とした金融庁の審議会報告書が発端となった年金問題にしぼっての討論になりました。番組の中では、日本共産党の志位和夫委員長が、「減らない年金」にするために提起した年金を自動削減する「マクロ経済スライド」の廃止が焦点の一つになりました。
「マクロ経済スライド」廃止の党財源案―「一つのアイデア」と立民・枝野氏
出演した7党それぞれの年金政策を紹介したフリップが掲げられ、「マクロ経済スライド」廃止の財源として提起した高額所得者優遇の年金保険料の見直しについて司会者から「具体的に教えてほしい」と質問。志位氏は次のように説明しました。
志位 今の年金保険料というのは、年収だいたい1000万円が上限になっていまして、それ以上になると2000万円の方も1億円の方も保険料が変わらないんですね。これをせめて健康保険並みの2000万円まで上限を引き上げる。その場合、給付が問題になりますが、高額所得者の方には給付をセーブするというアメリカでやっている仕組みを入れる。そうしますとだいたい1兆円くらいの保険料収入が出てきます。これを「減らない年金」をつくる財源にあてていく。
さらに司会者から「最新の世論調査を見ると、83%の人が年金制度の不安を感じると答えている。なんでこんなに不安に感じちゃうのか」と質問。安倍首相は「経済をしっかりと成長させていけば年金額を増やすことができる」と主張。志位氏は次のように述べました。
志位 今の年金の一番大きな問題は、「マクロ経済スライド」といいまして、今後二十数年間にわたって、給付水準を下げていくことですね。どれだけ下がるかということで、昨日(2日)安倍さんの方から私の方に答弁書が届いたんですけども、約7兆円実質下がる。基礎年金では3割下がる。
ですから、今40歳以下の方が特に大きな被害をこうむるんですけれども、たとえば国民年金満額で6万5000円、これ3割カットですと4万5000円。これでは生きていけない。ですから「マクロ経済スライド」はやめて、「減らない年金」にするのは急務だと思っています。
日本テレビ報道局の小栗泉政治部長は立憲民主党の枝野幸男代表に、「志位さんがマクロ経済スライドをやめたらどうかという意見をどうお考えでしょう」と質問。枝野氏は「年金制度は、どういう制度に変えていくにしても、幅広い与野党の協議が必要。志位さんのおっしゃっている提案は、まだわれわれは精査できていませんが、一つのアイデアだと思っている」と述べ、議論していく立場を表明しました。
低賃金でとても貯金できないのに下げるのか
いまも低い年金が、「マクロ経済スライド」でさらに減らされることを指摘する野党側に対し、安倍首相は「マクロ経済スライドを発動させ、(負担と給付の)バランスをとりながらかつ年金額を0・1%プラスにできた」「マクロ経済スライドの調整が終わったあと、物価の上昇分を差し引いても25万円の年金は確保できる」と自慢しました。一方、同番組にはツイッターで「年金足りないからためてくれ。子どもは産んでくれ。税金は上げるよ。どうやってためろと」という怒りの声も寄せられていることが紹介されました。志位氏は次のように述べました。
志位 いまパート労働者のなかで厚生年金に入っている方は35%なんですよ。派遣の方も76%しか入っていない。こういう方は国民年金だけになります。いま低賃金でしょ。とても貯金はできませんでしょ。老後は国民年金だけ。満額でも6万5000円。しかも4万5000円に下がります。
さきほど、名目は下がらないといいましたけども、実質は下がるんですよ。今年だって0・1%しか年金は上がらないで、物価は1%上がっているんですから。これで0・9%、実質は下がっているんですよ。これを二十数年間やりましたら、7兆円下がるという話なんですね。
年金不安を感じる20代、30代の方に
最後に各党に「年金に不安を感じる20代、30代の方が1票を投じたくなるようなアピールを」と問われて志位氏は次のように述べました。
志位 さきほど議論になった「マクロ経済スライド」で一番被害を受けるのは40歳以下の若い方です。ですから、この制度を廃止する。そのためには、保険料のあり方を変える、積立金も活用する、支え手である働く人の正社員化と賃上げをやる。この三つをやることが大事だと提案しています。それから低年金の底上げも、一律6万円と提案しています。