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2019年7月6日(土)

TBS「NEWS23」党首討論

志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は3、4両日夜放送のTBS番組「NEWS23」で行われた党首討論で、参院選で争点となっている年金問題や消費税10%増税、日米FTA(自由貿易協定)などについて与野党党首と議論を交わしました。討論では、自民党本部が野党やメディアを攻撃する冊子を参院選対策として所属国会議員に配布している問題もとりあげられ、言い訳に回る安倍晋三首相の醜態ぶりが際立ちました。


「減らない年金」へ―共産党は具体案を提案している

 いまでさえ低年金のうえ、年金給付を自動削減する「マクロ経済スライド」でさらに「減らされる年金」に不安が高まっています。与党側は「雇用をよくすることで400万人支え手が増えた」(安倍首相)、「年金積立金の運用で6年間に44兆円増えた。(年金制度は)改善されている」(公明党の山口那津男代表)と強弁しました。志位氏は次のように述べました。

 志位 年金の一番の問題は、「マクロ経済スライド」といいまして、連続的に(給付)水準を下げる仕組みが二十数年間続くということです。これが続くとどうなるか。これは、安倍さんの方から私の方に昨日(2日)届いた(マクロ経済スライドによる年金給付削減の根拠をただした質問主意書に対する)答弁書ですが、今の物価、賃金で比べれば、7兆円減る(と明記されている)。基礎年金でいえば3割減ると。いま国民年金で言いましたら満額6万5000円です。それが実質的には4万5000円まで減ってしまう。これではとても生きていけない。

 ですから私はまず、「マクロ経済スライド」はやめて、「減らない年金」にする。(そのために)私たちは具体的な財源策として、高額所得者優遇の保険料の仕組みをただす、支え手をしっかり強めるために賃上げや正社員化を進める、積立金を計画的に運用するということを提案しております。

消費税増税―この情勢下では自殺行為、やめよ

 安倍政権が狙う10月からの消費税10%増税。キャスターの星浩氏は、当時民主党が自民、公明両党とともに8%、10%の2段階の消費税増税で合意した2012年6月の「3党合意」をいまどう受け止めているのか立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表に質問。枝野氏は「あの時の判断は、結果的に間違いだったと反省している」と述べ、8%増税が引き起こした景気悪化を指摘。玉木氏も、「極めて格差を広げる税制に変貌してしまった」と指摘し、10%増税中止を求めました。志位氏は、8%増税による暮らしと日本経済への影響を具体的に指摘し、安倍首相と論戦になりました。

 志位 私たちは、消費税という税制そのものに反対ですけども、やはり今の(経済)情勢の下で上げていいのかという、これが大問題だと思うんですよ。

 (14年の)消費税8%をきっかけにして、家計消費は年25万円減っています。労働者の実質賃金は10万円減っています。そして、内閣府の景気動向指数は2カ月連続悪化。日銀短観の景況感も2期連続悪化。景気が悪いのは明らかなわけで、これだけ悪いときに増税するということは過去にも例がないですよ。3%のときも5%のときも8%のときも、一応政府は「景気がいい」というのが建前だった。この情勢の下での増税というのは、本当に自殺行為になる。ですから(10%増税は)やめるべきです。「消費税に頼らない別の道」で財源を見いだすべきです。

 これに対し安倍首相は「家計消費が減っているというのは間違いだ。16年から回復をしている」と述べました。

 志位 間違いと言われたので反論します。家計消費が落ち込んでいるのは間違いだと言われましたけど、2月の(衆院)予算委員会で議論したじゃないですか。(私はパネルにグラフを書いて)8%の増税をきっかけに家計消費が(年)25万円下がって、水面下に沈んだままだ。GDP(国内総生産)ベースで見ても3兆円下がってまだ(水面の上に)顔を出していないと。すると安倍さんは“確かに志位さんのグラフを見たら水の上に顔を出していない”と認めたじゃないですか。ですから(家計消費が)下がっているというのは事実なんですから、それは認めたうえでやらなくちゃいけない。

 それでも安倍首相は、「好調な企業収益を背景に雇用がいい」と認めない態度に終始しました。

所属議員に野党攻撃冊子―選挙を真面目にやる資格なし

 自民党本部が「参院選に向けた演説資料としてご活用ください」と同党所属国会議員事務所に通知を送付し、配布した野党やメディアを「乱心」「偏向」などと攻撃した冊子『フェイク情報が蝕(むしば)むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』。挿絵に描かれた志位、枝野、玉木各氏とおぼしき人物たちは、よだれを垂らしたり、犬のような姿で青筋を立てるなど下品極まりない描写になっています。

 キャスターの星氏が「これは国会議員に20部ずつ配られている。ごらんになったことはありますか」と尋ねると、安倍首相は、「党本部でいろんな冊子を配っているが、私はいちいちそれは見ていないので、まったく知らない」と発言。さらに「無責任だということでいえば無責任だ」と述べ、「(参院選1人区の)福井県では立憲民主党は候補者を擁立せず、共産党候補を応援している。枝野さんは、福井県に住んでいたら共産党の候補者に入れるのか」「(冊子の挿絵の)そんな漫画なんかよりもいま大切な点じゃないですか」とまったく関係のない話をして逃げ回りました。

 安倍首相の野党攻撃による論点そらしに枝野氏は「私たちは生活防衛のための政治を進めるのかという明確な選択肢を示している。安保法制は違憲であるので、これは変えるべきだということできちんと合意をしている」と強調。志位氏も安倍首相に対し次のように厳しく批判しました。

 志位 私たち野党は、自衛隊が違憲か合憲かという点では立場は違います。ただ、いま問われているのは、違憲か合憲かじゃない。(安倍政権が)安保法制という立憲主義を壊して、憲法違反の法律をつくった。これは許せないということでまず一致している。

 それから(参院選の野党の共通政策として)市民連合のみなさんと13項目の合意をきちんと結んでいます。ですから、当面の本当に切実な国民の願いにそくして、統一をやっているわけで、それをこうやってああだこうだとケチをつけるというのは本当に総理としていかがなものかと。

 これ(冊子)についていいますと、私はこの挿絵についてコメントはいらないと思うんですけども、人格をおとしめるようなものを平気で作る。そして出しているところが「テラスプレス」というんですか、出所不明なんですよ、安倍さん。出所不明の文書を自民党の本部として、国会議員に配るんですか。この一点をとっても選挙を真面目にやる資格はないと言われてもしょうがないですよ。

 安倍 先ほど申し上げましたように、私読んでないですから。反論のしようがないですよ。今いきなりいわれたんですから。そんな似顔絵よりも、中身について。憲法だったら憲法の論争をしましょうよ、星さん。

 志位 まともな議論に堪えうるようなものではないですよ。

 なおも野党共闘を目の敵にする発言を安倍首相が繰り返したため枝野氏は「共産党さんも今すぐ自衛隊を廃止しろという主張はまったくされていない。当面はまずこの安保法制をやめさせることで完全に一致しているので何ら問題はない」と主張。志位氏も「私たちは(自衛隊は)違憲という立場ですが、それを野党共闘に持ち込むということをしていませんから。ですから、一致点で協力する。すぐに(自衛隊を)なくすとも言っていませんから。段階を追ってやっていくということを言っているんです。何度も議論しているじゃないですか」と反論しました。枝野氏は安倍首相があげた質問に「私が福井県民なら野党統一候補に投票します。当然です」と明言しました。

日米FTA交渉―日本の食料主権、経済主権のすべてを差し出す

 外交問題をめぐって、日米双方が「参院選後の8月に早期に成果をあげたい」としている日本の農業市場自由化や米国の自動車・同部品の関税撤廃・削減という日米貿易協定交渉が議論になりました。安倍首相は「過去の経済連携協定で約束した内容が最大限だということをトランプ大統領と口頭で確認している。農産物の『最大限』でTPP(環太平洋連携協定)が入るのは当たり前だ」などと発言。志位氏は次のように述べました。

 志位 もともとこの議論の出発点で安倍さんは、“日米FTA(自由貿易協定)じゃないんだ、TAG(日米物品貿易協定)なんだ”ということを繰り返しました。

 しかし、「TAG」という言葉は、(昨年9月の日米首脳会談で発表された)日米共同声明文の英訳の中にはないんですね。それでトランプ大統領は「包括的な交渉をやっていく」と繰り返しいっている。「包括的な交渉」というのは、サービスも含む。これは日米FTAそのものなんですよ。「FTAではない」といいながら、実際はFTA交渉をいま進めようとしている。そして「8月にはよい結果が出るだろう」となりましたら、結局、TPPで譲歩した線をさらに踏み越えて、もう相手から関税の撤廃でやられ放題にやられる。日本の食料主権も経済主権もすべて差し出す。こういう結果にならざるをえないんですよ。(日米)FTA交渉をやめるべきです。

 社民党の吉川元幹事長は「志位委員長も言われたとおり、アメリカと2国間の協議はしないといっていたのに、いつのまにかチャーハンを焼き飯といえば別の単語になるのかというレベルの話だ。これはまったくFTAだ」と指摘しました。


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