2019年7月6日(土)
NHK「ニュース7」 志位委員長が語る
NHK番組「ニュース7」(4日夜)に出演した日本共産党の志位和夫委員長のインタビューを紹介します。
■選挙で何を問うか
「くらしに希望を」――“ほかに道はある”と大いに訴える
―共産党の志位委員長にうかがいます。よろしくお願いします(志位「こんばんは」)。ではまず、今回の選挙はなにを問う選挙か、ボードを見せていただけますか。
志位 「くらしに希望を」と書きました。
―一言、ご説明をお願いします。
志位 やはりいま、暮らしに対するさまざまな不安があります。年金について言いますと、年金の額が足らないということに加えて、どんどん減ってしまうという「マクロ経済スライド」という大問題があります。これを廃止して「減らない年金」にしていく。そのための財源策も明らかにしています。
それから消費税について申しますと、こんな不景気のときに増税などとんでもないと、私たちはもちろん反対ですが、「消費税に頼らない別の道」、大企業や富裕層に応分の負担を求めて、くらしに充てていくという、この基本をですね、“道はほかにある”んだということを大いに訴えて、たたかっていきたいと思います。
■1人区での候補一本化
気持ちのいい共闘がスタート、比例でも増やす
―志位さん、野党連携について次にうかがいます。共産党は1人区で統一候補を立てるために、多くの候補者を取り下げられたわけですが、比例代表選挙への影響というのは懸念されていないでしょうか。またあの、衆院選挙でも今回と同じような対応を目指す方針なんでしょうか。
志位 これは私たち、今度の1人区の一本化にあたっては、「お互いに譲るところは譲る」という立場で一本化できました。共産党擁立の候補者で一本化したところも3選挙区・5県になりました。ですから気持ちのいい共闘がいまスタートしているというところでありまして、私たち、この共闘の成功のために全力で取り組むということと、比例で増やしていくということは決して矛盾しない、両立させてやっていきたいと思っています。
■野党の共通政策
国政の一番大事な問題で旗印が立つ、多様性を強みにして一致点で協力する
―共産党は日米安全保障条約の廃棄ですとか自衛隊の段階的な解消を主張しています。野党間で考え方に違いがあるなかでも、1人区で候補者を一本化した理由はなんでしょうか。また有権者にはどう説明しますか。
志位 これはね、政党、それぞれ別の党ですから、それぞれの独自の政策があります。いまおっしゃられた日米安保条約、あるいは自衛隊の問題、(共産党は)独自の政策持っております。これは変わりありません。
ただ、これを野党共闘のなかに持ち込むということはいたしません。いまの政治を変える、とくに安倍政治の強権的なやり方を変えていくという一点で力を合わせる。具体的には、市民連合のみなさんと13項目の政策協定を結びました。そのなかには憲法、消費税、原発、沖縄、こういう国政の一番大事な問題での共通の旗印も立っております。
ですから、そういう一致点を大事にしながら、お互いにリスペクトして、多様性を大事にしながら、そして協力していくと。こういう共闘を進めたいと思っておりますし、自民党の方は多様性がないですから、野党の方は多様性があることを逆に強みにしてやっていきたいと思っております。
■憲法問題
変えるべきは憲法でなく、憲法を生かしていない政治
―その憲法についてなんですけれども、志位委員長、安倍総理大臣による9条改憲に反対するとしていますね。護憲を掲げているわけですけれども、改正論議自体に反対していくという考えなんでしょうか。
志位 いまの憲法の全ての条項を守る、そして平和的、民主的な条項は全面実施をするというのが私たちの大方針でありまして、変える必要がないと思っております。
むしろ、憲法の大事な理念が生かされていない。9条という宝物を持っていながら、それが平和外交に生かされておりません。もっぱら軍事で対応するということをやって孤立しております。
それから、憲法25条という生存権を保障した条項がありながら、社会保障をどんどん削ると(いう状況です)。
憲法を生かしてない政治が問題でありまして、変えるべきは憲法じゃなくて、憲法を生かしていない政治の方だと訴えております。
■消費税
いまは10%中止が中心課題、将来的には財源確保し減税、廃止に
―次に消費税についてうかがいます。共産党は今回、10%の引き上げを中止すべきだと訴えているわけなんですけれども、将来的な引き上げは容認されるんでしょうか。また、消費税自体の存否、これについての対応は変わったんでしょうか。
志位 これは将来的な引き上げ、当然、私たちは断固反対です。そして消費税については、私たち、いまは10%を中止させるということが中心課題だと思っておりますし、そして「消費税に頼らない別の道」で大企業、富裕層に応分の負担を求めて、くらしを支えるというプランを出しておりますが、将来的には、やはり消費税という税金は弱い者いじめの税金です。逆進性という害悪がついてまいりますから、財源を確保しながら減税し、やがて廃止するという方針でのぞんでいきたいと思っております。
■年金問題
「マクロ経済スライド」廃止で「減らない年金」へ、低年金の底上げを
―年金についてなんですけれども、減らない年金にするとして、最低保障年金制度の確立、これを公約に掲げられました。ほかの野党とは共有されたものなんでしょうか。また、財源はいかに確保する考えですか。
志位 いま「減らない年金」と最低保障年金と二つおっしゃったんですが、ちょっと別なんですね。
「減らない年金」というのは、いま問題になっております「マクロ経済スライド」、これをずっとやりますとだいたい7兆円くらいの年金が奪われるということになってまいります。国民年金の場合ですね、満額でも(月)6万5000円ですが、3割減、現在価格で3割カットされますので、4万5000円になって、とても暮らせない。ですから、この「マクロ経済スライド」を廃止して、「減らない年金」にする。その財源としては、高額所得者優遇の保険料のあり方をただす、あるいは巨額の積立金を効率的に給付に回していく、等々で賄っていきたいと思っております。
当面はまず「減らない年金」にする。そして、低年金の底上げをやる。これは緊急の課題ですが、いま言われた最低保障年金というのは将来的な課題として、全額公費で5万円の年金を保障して、そのうえに報酬(比例の)の2階建てを建てるというもので、これはお金がずいぶんかかりますので、将来的な課題に位置づけております。
■目標議席
1人区ですべて勝ち、比例で7議席以上、選挙区の現有3議席を守って増やす
―今回の選挙の目標ですけれども、野党が連携している1人区では何勝を目指しますか。また、共産党としての目標もお聞かせください。
志位 1人区の目標は全部で勝つということです。これはどこも野党の統一候補が実現しました。そしてどの候補も基本的な政策で一致しておりますので、ぜひ、全部で勝つというところで頑張りたいと(思います)。
共産党自身の目標としましては、政党を選ぶ比例代表選挙で850万票、7議席以上を目標としております。選挙区の方は現有3議席持っております。これを必ず守って、増やしたいと考えております。
―志位さん、ありがとうございました。
志位 ありがとうございました。