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2019年7月6日(土)

基礎年金6万3千円確保言うが

首相の反論は“架空の数字”

 年金を自動削減する「マクロ経済スライド」が続けば、2040年代には基礎年金(国民年金)が毎年7兆円削減されるとの事実が衝撃を与えるなか、安倍晋三首相が反論に躍起になっています。

 安倍政権は2日に閣議決定した日本共産党の志位和夫委員長に対する答弁書で、マクロ経済スライドが終了する43年度、基礎年金の給付額が7兆円、3割減らされることを認めました。

 これを、現在の基礎年金の満額月6万5000円に当てはめると、月4万5000円への減額となります。これでは、ますます暮らせない年金になってしまいます。

 日本記者クラブの3日の党首討論会で、志位氏がこの事実を示してマクロ経済スライドの廃止を迫ったのに対し、安倍首相は「4万5000円は根拠ないです。マクロ経済スライドの調整が全て終わった後、物価上昇分を差し引いたとしても6万3000円の保険給付は確保できる」と言いだしました。

 しかし、安倍首相が口にした6万3000円は、マクロ経済スライドの被害をごまかすため、以前から自公政権が使ってきた架空の設定に基づく数字です。

 試算の前提となっているのは、今後、43年までの約20年間に、実質賃金が物価を上回り、4割も引き上がるという想定です。

 実際には、安倍政権の6年間で実質賃金は14万円も減っています。政府は毎年の年金改定の際に、賃金上昇率と物価上昇率の比較を行いますが、安倍政権が行った7回の年金改定において、賃金上昇率が物価上昇率を上回ったことなど一度もありません。

 現実離れした未来予測をもとに机上の計算を行うことで、年金額が減らないように見せかけているのです。

 いくら政府が数字の操作であれこれの金額をひねり出したところで、年金水準がいまより3割低下する事実に変わりはありません。

 なにより、こうした政府の従来の説明は、安倍政権が自ら基礎年金の7兆円削減を認めたことで破綻しています。安倍首相が使い古しの“架空の数字”をいくら持ち出しても、改悪の実態を覆い隠すことはできません。


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