2019年6月28日(金)
シリーズ党国会議員に聞く たつみコータロー参院議員
コンビニオーナー守る党提言
命まで奪う異常 法規制を
異常な長時間労働、一方的に決められる利益配分、恣意(しい)的・一方的な更新拒絶など、オーナーの命と経営の継続の危機にあるコンビニエンスストア。日本共産党の国会議員団は7日に、「加盟店の営業と権利を守り、コンビニ・フランチャイズ法の制定を」と題する緊急提言を発表しました。提言の意義などを、2016年から国会でコンビニ問題を追及してきたたつみコータロー参院議員に聞きました。(聞き手・若林明)
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地域社会で役割
―「コンビニ提言」を出した意義は。
今では、コンビニは生活になくてはならない存在になっており、地域にとって大きな存在です。地方では、コンビニの継続は生活そのものにかかわる問題です。
東大阪のコンビニのオーナーの勇気ある告発に始まった24時間営業とのたたかいは、新聞各紙の世論調査で6割~8割がコンビニ24時間営業「見直し」に賛成と答える中、大手コンビニ本社は時短を事実上容認するようになっています。多くの人がコンビニの実態を知っている証拠です。「本当にうちのオーナーは死にそうになって働いている」というコンビニで働いているアルバイトの人。「行きつけのコンビニのオーナーが、またレジに入っている」という近所の人。コンビニが根付きつつあるからこそ、「見直し」を支持してくれるのです。
地域社会で重要な役割を担っているコンビニが、極めて特異なフランチャイズ制の下でさまざまな問題に直面し、その継続が危ぶまれる事態になっています。オーナーの命と店舗の継続を守り、地域の生活を守るために提言を出しました。
問題の根っこにあるのは、コンビニ会社本部とフランチャイズ店との利益配分です。
単純化して言えば、売り上げに対して仕入れ=原価があり、その差額が粗利益です。セブンイレブンでは、粗利益の最高70%が、ロイヤルティー(上納金)として本部の収入になります。残りからアルバイトの人に支払う給与等を差し引いたものがオーナーの所得です。
さまざまな条件が変わっても、ロイヤルティーの比率は変わりません。売り上げが横ばいなら、利益を上げるために、削減するのは人件費です。アルバイトを雇わずにオーナー自身が働くようになります。月に500時間などというオーナーの異常な長時間労働の原因です。
人手不足の原因
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―コンビニの苦境は人手不足の問題でしょうか。
一般的な人手不足という問題もありますが、本来はそれなりの給与をアルバイトに払えれば、人手不足にはなりません。最低賃金に近い給与しか払えないのが実態です。一般的にコンビニの給与は安いと言われています。今コンビニでは扱う業務が増えて、アルバイトの仕事も高度になっています。一方で、それに見合う給与を出すのは困難です。だからコンビニは人手不足になっているのです。
オーナーからすれば赤字になる深夜営業などしたくない。しかし、本部は一つでも売れれば売り上げが上がってロイヤルティーが増えますので、24時間営業に固執します。もし、労働者ではなく一経営者としての契約であれば、営業時間の裁量は本来オーナーにあるはずです。
声上げられずに
―オーナーは労働者としての保護は受けないのですね。
そうです。フランチャイズ契約は、あくまでも一経営者と本部との契約です。営業時間などオーナーの裁量があまりにも少ないのが問題です。オーナーが声を上げられない背景には、契約更新の問題があります。契約を更新できるかどうかは最終的には本部の意向によります。だから、オーナーは声を上げられないのです。
一方で、オーナーの異常な長時間労働は、過労死してもおかしくないし、実際に過労死している人がいると思います。ただ、過労死のデータもない。法律がないために、結局、アンケートみたいなものを何年に一回やっている程度です。法律を作るということはそういう点を変えていく意義があるのです。
競争激化の中で
―だからコンビニ各社は法律化に反対するのですね。フランチャイズ契約の問題点は。
コンビニの新規出店数は、飽和状態と言われる中で増えています。コンビニ本部は土地があれば無理にでも新規出店をします。同業他社や他業種の参入もあって競争は激しくなっています。出店すればもうかるという状況ではなく、直営店舗ではもうかりません。だけどロイヤルティー収入としているフランチャイズだと本部はもうかるのです。オーナーの犠牲のもとに成り立っているからです。
守るべき法律が無く、資本主義のむき出しの論理がオーナーを搾取している状況です。それは、あたかも、イギリスで産業革命の時代に、児童労働、長時間労働がはびこった状況と同じではないでしょうか。イギリスでは労働者のたたかいによって労働者を守る工場法などができました。フランチャイズ契約も、そういう形でむき出しの搾取を規制する方向に向かうべきです。