2019年6月26日(水)
安倍内閣に国政担う資格なし
内閣不信任決議案に対する志位委員長の賛成討論
衆院本会議
日本共産党の志位和夫委員長が25日の衆院本会議で行った安倍晋三内閣不信任決議案に対する賛成討論は次の通りです。
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私は、日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案への賛成討論を行います。
発足から6年半を迎える安倍政権は、内政・外交のあらゆる面で行き詰まり、国民の不信と批判が広がっています。
もはやこの内閣に、わが国の国政を担う資格はありません。
国民の年金不安に対して無責任きわまりない態度
不信任の第一の理由は、国民の年金不安に対して無責任きわまりない態度をとっていることであります。
公的年金だけでは「2000万円不足する」という金融庁の報告書が、老後への不安を広げています。ところが安倍政権は報告書の受け取りを「拒否」するという前代未聞の対応をとりました。自分に不都合な事実は隠ぺいする。この姿勢が年金への不安をいっそう広げているという自覚はないのでしょうか。この一点をもってしても不信任に値する暴挙といわなければなりません。
問題は、それにとどまりません。総理が、「マクロ経済スライド」という給付水準引き下げの方針にしがみついていることです。19日の党首討論で、私が「マクロ経済スライド」の廃止を求めたところ、総理は、廃止は「ばかげた案」だと拒否しつつ、同制度を廃止するには「7兆円の財源が必要」と答弁しました。この答弁はきわめて重大です。「マクロ経済スライド」で国民の年金を7兆円規模で奪うことを認めたのであります。
総理は、その後、民放番組で、わが党が「マクロ経済スライド」を廃止するための財源を「まったく出していない」と攻撃しました。総理は、党首討論でいったい何を聞いていたのでしょうか。私は、あの場で、高額所得者優遇の保険料のあり方をただすことで約1兆円の保険料収入を増やすという具体的提案をしたではありませんか。さらにわが党は、約200兆円の年金積立金を年金給付に活用すること、賃上げと正社員化を進めて保険料収入と加入者を増やすことを合わせて進めることによって、「減らない年金」にすることは可能だと具体的に提案しています。
今でさえ貧しい年金を、「マクロ経済スライド」を続けて、さらに貧しくする政策にしがみつく総理の姿勢こそ、総理失格の「ばかげた姿勢」といわなければなりません。
暮らしと経済を破滅に追い込む消費税10%への増税強行をねらう
不信任の第二の理由は、暮らしと経済を破滅に追い込む消費税10%への増税を強行しようとしていることです。
2014年の消費税8%を契機に、実質家計消費は年25万円も落ち込み、労働者の実質賃金も年10万円落ち込んでいます。内閣府の景気動向指数は、6年5カ月ぶりに2カ月連続で「悪化」となりました。景気悪化の局面での増税の強行など、歴史的にも前例のない愚行というほかありません。
私が、予算委員会で、増税が日本経済にもたらす破滅的影響をただすと、総理は、「今回はいただいたものをすべてお返しする対策を行っていきたい」と答えました。しかし、すべて返すぐらいなら最初から増税などしなければいいではありませんか。
総理は、「消費税の使い道を変える」――増税分を「高等教育の無償化」「幼児教育・保育の無償化」にあてるという言い訳をしています。しかし「高等教育の無償化」と言いますが、その中身は、大学学費の値上げを容認し、学費減免の対象になるのは学生の1割にすぎず、その財源は消費税増税です。これをもって「高等教育の無償化」とは、「看板に偽りあり」とはこのことではありませんか。「幼児教育・保育の無償化」は必要ですが、財源を消費税増税に頼ったら、所得の少ない方には負担増だけにしかなりません。どれもこれも、消費税増税を押し付ける言い訳にはなりません。
総理は、大企業や富裕層への優遇税制をただすなど、「消費税に頼らない別の道」で財源をつくり、暮らしの充実にあてるというわが党の提案を、「信憑(しんぴょう)性がない」「経済がダメージを受ける」と悪罵(あくば)を放って拒否しました。しかし、富裕層優遇の証券税制を是正することは、経済同友会やOECD(経済協力開発機構)も主張していることです。総理は、これらに対しても「信憑性がない」と悪態をつくつもりか。
景気悪化のもと、庶民には大増税を押し付け、大企業と富裕層優遇の税制には指一本触れようとしない。このような首相に、日本経済の舵取(かじと)りも、国民の暮らしも、まかせるわけには断じていきません。
憲法9条改定によって、「海外で戦争する国」への暴走
不信任の第三の理由は、憲法9条改定によって、「海外で戦争する国」への暴走の道を突き進もうとしていることです。
安倍総理の改憲案のどこが問題か。それを自ら明らかにしているのが、自民党が取りまとめた9条改憲の条文案です。
条文案では、9条2項の後に、「前条の規定は、……自衛の措置をとることを妨げない」として、自衛隊を明記するものとなっています。「前条の規定」は「妨げない」ということは、9条2項の制約が自衛隊に及ばなくなるということです。2項が残されていても立ち枯れとなり、死文化してしまいます。海外の武力行使への一切の制約がとりはらわれてしまいます。アジア諸国民と日本国民の甚大な犠牲のうえにつくられた日本国憲法第9条を亡き者とし、米国と肩を並べて戦争をする国をつくろうという野望を、絶対に許すわけにはいきません。
総理は、参議院選挙で、「憲法を議論しない政党か、する政党かを強く訴える」とのべています。わが党は、憲法を守り、憲法を政治に生かす議論をこれまでも大いにしてきましたし、今後も大いにしていく決意です。同時に強調したいのは、いったい総理に、憲法を議論する資格があるのかという問題であります。
安倍政権は、秘密保護法、安保法制=戦争法、共謀罪――どれもこれも憲法違反の法律を、数の暴力で強行してきました。こんなにも憲法を蔑(ないがし)ろにしてきた政権は、戦後かつてありません。憲法を蔑ろにする総理に、憲法を議論する資格はありません。
沖縄県民の民意を無視した新基地建設――これで民主主義の国といえるか
不信任の第四の理由は、沖縄の民意を無視し、辺野古新基地建設にむけた埋め立てをやめようとしないことです。
県知事選挙、県民投票、衆院沖縄3区補欠選挙――この間も、沖縄県民は繰り返し繰り返し、明瞭で圧倒的な、「新基地建設ノー」の審判をくだしてきました。それを一顧だにせず、埋め立てを続ける国が、いったい民主主義の国といえるのか。
23日、沖縄全戦没者追悼式で、玉城デニー知事は、「民主主義の正当な手続きを経て導き出された民意を尊重せず、なおかつ地方自治をも蔑ろにするもの」だと、総理の姿勢をきびしく糾弾しました。当然の批判であります。
総理が、この期に及んで、「県民の負担を軽減する」だの「沖縄の心に寄り添う」だのというのは、沖縄県民を愚弄(ぐろう)するにもほどがあるといわなければなりません。
総理がいまやるべきは、内閣を総辞職し、沖縄県民の総意にこたえる新しい政権に席を譲ることであります。
参院選で勝利をかちとり、安倍政権を退陣に追い込み、希望と安心の日本を
私たち5野党・会派は、きたるべき参院選にむけ、32の1人区のすべてで候補者を一本化いたしました。そして、国民の願いにこたえる13項目の共通政策を確認しております。
市民と野党で力をあわせ、この政治戦で必ず勝利をかちとり、安倍政権を退陣に追い込み、国民の誰もが希望をもち安心して暮らせる日本をつくるために全力をあげる決意を表明しまして、賛成討論といたします。