しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年6月24日(月)

ASEAN首脳会議

「インド太平洋構想」採択

協力と平和環境形成を主導

 【バンコク=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は23日までバンコクで開いた加盟10カ国の首脳会議で、アジア・太平洋とインド洋地域でのASEANの外交指針となる「ASEANインド太平洋構想」を採択しました。


 この構想でASEANは、アジア・太平洋とインド洋地域の発展と経済力・軍事力の増大とともに、国家間の不信感の増大、利己的な行動に走る傾向などの挑戦課題が出てきていると指摘。どの特定の国も排除しない「インクルーシブ」(包摂的)な多国間協力枠組みの中心となってきたASEANが、インド太平洋でも経済や安全保障に関する地域構造の形成を主導していくことが、平和と安定、繁栄の維持に重要だと強調しました。

 インド太平洋で友好協力を推進する上で、東南アジア友好協力条約(TAC)を指針とすることを強調。紛争の平和解決などのTACの原則が同地域でも国家間関係の規範となるように推進していく意思を示しました。

 インド太平洋協力のメカニズムについては、ASEANの中心的役割を原則に設定。東アジアサミット(EAS)などを強化して協力基盤としていく方向を示しました。協力の優先分野に、海洋、地域の連結強化、持続可能な開発目標と経済の4点を挙げました。

 ASEANはこの構想でも包摂性、主権尊重、不干渉、国際法の尊重などの諸原則を踏襲。地域協力、信頼醸成などを通じて、インド太平洋を「対抗でなく対話と協力の地域」、「すべて(の国)の発展と繁栄のための地域」とすることを目指すと宣言しました。

 フィリピンのドゥテルテ大統領は22日の会議で同構想に関して、「ASEANが地域について新しいビジョンを示し、形成中の新しい地域構造の中心を主張すべき時は今をおいてない」と強調しました。

 議長国タイのプラユット首相は23日の閉幕会見で、インド太平洋でASEANが外交の「共通のアプローチを持つようになったことは重要だ」と指摘。排除なく「包摂的に、ASEAN中心で協力を進めるべきだ」と強調しました。同首相は、構想作成を主導したインドネシアに謝意を表明しました。

 今回の首脳会議でASEANは、あわせて「持続可能な安全保障」の追求を盛り込んだ「持続可能性のためのパートナーシップ・首脳ビジョン声明」を採択。「すべての次元での持続可能性」を追求すると強調し、経済や社会・文化面に加えて、アジア太平洋諸国間の信頼強化やTACの原則の適用拡大などを通じて安全保障面でも持続可能性を促進する考えを盛り込みました。

 同声明は、東南アジアを非核地帯、係争を平和解決する地域として維持すると宣言。国際法や地域規範、相互尊重に基づく秩序を支持し、ASEAN中心の包摂的で持続可能な地域構造を強化する意思を示しました。


pageup