2019年6月23日(日)
ひきこもり経験したから
NPO主催 福祉現場労働者語る
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川崎市で起きたセンセーショナルな殺傷事件で、容疑者の「ひきこもり傾向」が報じられたことから、ひきこもりの当事者や関係者に不安が広がっています。特定非営利活動法人わかもの就労ネットワークは21日、福祉現場で働く元ひきこもりの労働者から経験を聞くイベントを都内で行いました。
「勤めていた食品工場がつぶれて、5年ひきこもりました」と話し始めたのはOさん(41)。職を転々とした若いころ。探しても就労できなくなった30代。家から出られなくなったときの親子の葛藤。「履歴書の空白期間が重荷になって、うつ状態になりました」と振り返ります。
Tさん(43)は、普通高校を卒業後、情報処理の専門学校を出て、医薬品関係の企業の情報処理部門の仕事に就きました。30歳を過ぎたころ会社の吸収合併で職場の責任者となり、負担感から退職しました。「就活してもダメで」、10年くらい、実家でときどき家業を手伝いながら過ごしました。
現在、Oさんは知的障害者のグループホームに、Tさんは介護士として高齢者福祉の事業所に勤めています。「福祉の仕事はまったく考えたことがなかった」と二人。「『のどから手が出るほどほしい』といわれて自分が必要とされていると感じた」とOさんは就労のきっかけを語ります。「知らない業界に飛び込む勇気が出ました」とOさん。
人手が足りない福祉の現場。Tさんは、「職員同士が支えあえる関係をつくれている」ことが仕事を続けられる理由だといいます。「ひきこもりの経験があったから、利用者さんの気持ちに寄り添える」と二人はいいます。
ひきこもり問題の解決のために、働く人の自尊心が尊重される労働の場が求められていると話し合われました。