2019年6月14日(金)
大阪 G20特集の新聞 配布
首相写真掲載 府内1600校に74万部
知事が活用要請
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「これって、どうなの」「そういえば、安倍首相が(憲法『改正』への考えを聞かれ)“読売を熟読して”って国会答弁していたのを思い出すわね」―大阪府内のお母さんたちの間で、子どもが学校から持ち帰った新聞が問題になっています。
この新聞は「読売KODOMO新聞・中高生新聞」の特別版です。今月28、29日に大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を特集したものでタブロイド判20ページ。「世界のリーダー集結」の大見出しがついた1面には「日本の安倍晋三首相が会議の議長を務め、話し合いの成果をまとめます」として、安倍首相の顔写真が真ん中に大きく掲載されています。
読売新聞大阪本社が、府・市と関西経済3団体などでつくる「G20大阪サミット関西推進協力協議会」(会長・吉村洋文大阪府知事)と連携して発行。大阪府内のすべての小中学校、支援学校約1600校に約74万部を無償で配布・提供。紙面の内容と連動したDVD計1800枚も府内の小中学校、高校、支援学校に各校1枚ずつ配られました。
事前に、吉村知事(推進協力協議会会長)名で、大阪府教育庁教育振興室長、小中学校課長、私学課長あてに各学校現場での配布・活用の周知を要請。吉村知事は「(大阪の子どもたちに)グローバルな視点をぜひ学んでもらいたい」(5月22日の記者会見)とG20大阪サミットの子ども向け理解促進の意義を強調していました。
安倍首相はG20大阪サミットを参院選直前の一大イベントとして政治利用をもくろみ、大阪維新の会の府市政はカジノを中核とする統合型リゾート(IR)や2025年大阪万博などと連動させ“維新府市政で成長する大阪”を印象付けたい思惑が宣伝物にも表れています。選挙をにらんだ自民党の宣伝と受け止める保護者も。
大阪教職員組合の米山幸治書記長は「教育課程の編成権は各学校にあります。何を教えるか、何を教えないかは、各学校で判断すべきです。行政が、教える中身を強制することはあってはなりません」と語ります。