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2019年6月13日(木)

主張

米軍ヘリ落下物

普天間基地の運用停止直ちに

 沖縄県浦添市で米海兵隊普天間基地(同県宜野湾市)の所属ヘリが中学校にプロペラの保護テープを落下させた事故を受け、同基地の運用停止や返還を求める声が強まっています。これに対し安倍晋三政権は、同県名護市辺野古の新基地建設が「唯一の解決策」だとし、運用停止にも応じようとしません。しかし、辺野古沿岸への土砂投入が昨年末に強行されてからこの半年、新基地建設には政治的にも技術的にも展望がないことが一層浮き彫りになっています。新基地建設を条件とせず、直ちに普天間基地の運用を停止し、閉鎖・撤去を実現することが必要です。

「再発防止策」機能せず

 今月4日、浦添市立浦西中学校のテニスコートに、普天間基地所属のCH53E大型ヘリから、プロペラを保護するゴム製テープが落下しました。テニスコートには部活動中の生徒二十数人がいたといいます。米軍は当初、落下物は「人や財産に脅威を与えない」などと開き直り、謝罪もしませんでした。しかし、整備不良などが原因であれば別の部品が落ちた可能性もあり、一歩間違えば命に関わる深刻な事故でした。

 浦添市議会が採択した意見書・抗議決議(7日)が今回の事故について、生徒や保護者、学校関係者らに「恐怖と不安を与えている」とし、事故後も飛行が続いていることに「激しい憤りを禁じ得ない」と表明しているのは当然です。

 普天間基地所属のCH53Eは一昨年12月、宜野湾市の緑ケ丘保育園の屋根に部品を、同市立普天間第二小学校のグラウンドに窓を落下させる事故を起こしています。

 普天間第二小での窓落下事故を受け、米軍は、「再発防止策」として、CH53Eの全ての整備員に対して品質管理・整備安全に関するブリーフィング(説明)を行ったり、面接をして整備員の技能基準が満たされていることを確認したりしたと述べていました。また、普天間基地を離着陸する全ての航空機の搭乗員に対し、学校上空の飛行を最大限可能な限り避けるよう指示したとしていました。

 ところが、今回落下した保護テープはそもそも点検の対象にさえなっていなかったことが判明し、整備のずさんさがあらわになっています。最大限避けるとした学校上空の飛行も日常的に繰り返されています。「米軍の再発防止策が機能していないのは明らか」(日本共産党の赤嶺政賢議員、6日の衆院安全保障委員会)です。

 沖縄県の玉城デニー知事は先月、米政府と米軍に対し、普天間基地の早期運用停止を求める書簡を送っていました。

新基地の完成見通せない

 書簡は、▽今年2月の県民投票で辺野古埋め立て反対が7割を超えたこと▽埋め立て承認から5年たっているものの、建設予定の護岸22カ所のうち9カ所しか工事に着手できていないこと▽埋め立て区域の海底にマヨネーズ並みの軟弱地盤が存在し、県は今後の工期を13年以上と見込んでいること―などを挙げ、「辺野古新基地の完成は見通せない」と断じています。

 今回の事故を口実に、安倍政権内からは「普天間基地を辺野古に移すしかない」という声が上がっています。しかし、「辺野古移設は、一日も早い普天間飛行場の危険性の除去につながるものではない」(書簡)ことは明白です。


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