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2019年5月30日(木)

児童虐待防止法等改正案に対する高橋議員の賛成討論

衆院本会議

 日本共産党の高橋千鶴子議員が28日の衆院本会議で行った児童虐待防止法等改正案に対する賛成討論の要旨は次の通りです。


 日本が子どもの権利条約を批准して25年、残念ながら子どもの権利は脅かされ続けています。児童虐待相談件数は毎年増え続け、命まで失われる事態があとを絶ちません。与野党協議が調い全会一致で修正可決されたのは、私たちが求める水準から遠いとはいえ、大変意義あることです。

 法案の最大の論点は、親権者による体罰の禁止を明文化したことです。民法822条「懲戒権」について、削除も視野に2年以内の検討を行うとしました。

 しかし、体罰の定義は今後ガイドラインで示すとし、その参考とする学校教育法11条は明確に正当な懲戒を認めています。懲戒と体罰の境目はあいまいで、許される「体罰」の余地を残しています。国連子どもの権利委員会は「体罰はどんな場合にも品位を傷つけるものである」とし、有形力ではなくても、「子どもをけなし、辱め、侮辱し、身代わりに仕立てあげ、脅迫し、こわがらせ、または笑いものにするような罰」も「残虐かつ品位を傷つけるもの」だとしています。民法の懲戒権規定は速やかに削除し、条約の精神にのっとって、子どもの品位を傷つけるあらゆる行為を禁止するべきです。

 なお、子どもが精神的苦痛を訴えても肉体的苦痛を伴わなければ体罰とみなさず、逆に肉体的苦痛を訴えても、客観的にみれば「体罰とまでは言えない」と学校側が判断する場合もありえるとの学校教育法の考え方も、今こそ議論すべきです。

 二つ目は、児童相談所の増設と体制強化です。野党案は、児童相談所設置基準の法定化と中核市・特別区での児童相談所設置の義務化を求めましたが、一致できず残念です。増設と自治体による設置の意義は共有されており、さらなる国の支援を強く求めます。児童福祉司の増員、児童心理司の倍化など人材確保と専門家の養成には国による思い切った財政措置が不可欠です。

 第3に、この間の虐待死事案を受け、転居にともなう児童相談所間の確実な引き継ぎ、関係機関の連携強化について法案でも強調されたことは重要です。検討事項となった保護者支援プログラムの確実な実施や児童の意見表明権の保障なども、各地の貴重な実践に学び、確実に進めていただきたいと思います。

 なお、DVと児童虐待対応の連携強化が明記されました。DV被害者が加害者になることがないよう、縦割りではない連携を求めるとともに、実効あるDV法の抜本改正を求めたいと思います。

 子どもが権利について学び、いやなことは「いやだ」と声をあげられ、その声をおとなが正面から受け止めることが、真に子どもの権利の保障につながるのではないでしょうか。そのような社会を目指し、国が全力で取り組むことを求めます。


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