2019年5月29日(水)
米軍犯罪8割超不起訴
平和委入手の資料で判明
背景に地位協定と密約
日本で昨年発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率が約14・5%にとどまり、8割超が不起訴処分になっていることが、日本平和委員会が情報公開で入手した資料で明らかになりました。全国での一般刑法犯の起訴率(2017年)の37・4%と比較して大幅に低下しています。
法務省が開示したのは、全国の地検と高検が作成した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」(18年分)。それによれば、米軍関係者による一般刑法犯は起訴9件に対し、不起訴が53件に達しています。
暴行、強制性交、詐欺などは、いずれも起訴率が0%、窃盗は起訴1件に対し不起訴27件でした。また、自動車による過失致死傷・過失運転致死傷は起訴16件に対し不起訴205件でした。
こうした低い起訴率の背景には、米軍の特権的地位を定めた日米地位協定があります。協定17条では、米軍が「公務中」に起きた犯罪の場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本側に身柄を引き渡されない限り起訴できません。一方、「公務外」の場合は日本側に第1次裁判権があります。しかし、1953年10月28日に日米合同委員会で結ばれた密約で、日本は米国に対し、特に重要と考えられる事件以外は裁判権を行使しないと約束しました。この密約が今なお効力を発揮していることが裏づけられています。
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