2019年5月29日(水)
強制不妊 賠償請求を棄却
仙台地裁 旧法の違憲性は認める
「不良な子孫の出生を防止する」とした旧優生保護法(1948~96年)下に、宮城県の60代と70代の女性2人が知的障害を理由に不妊手術を強制されたのは違憲・違法だとして、国に計7150万円の損害賠償を求めた訴訟(中島基至裁判長)の判決が28日、仙台地裁でありました。旧法の違憲性を認定した一方、損害賠償請求を棄却する不当判決でした。原告、弁護団は控訴する見通しです。
裁判で原告は、優生手術によって、性と生殖に関する権利(リプロダクティブ・ライツ)を奪われた精神的苦痛は深刻であり、重大な人権侵害だと主張。障害者差別に基づいた旧法は憲法13条(幸福追求権)に反するとして、損害を補償する立法措置を国会が長期にわたり怠った「立法不作為」の過失を問いました。
一方、国は国家賠償法に基づいて被害者は損害賠償を求めることができたとして、立法措置は必要なかったと反論。民法が定める除斥期間の適用で手術から20年以上が経過しているため賠償請求できないと主張しました。
判決は、旧法が憲法13条に違反し、無効としながら、性と生殖に関する権利をめぐる法的議論の少なさを理由に、立法措置の必要不可欠性が「国会にとって明白であったということは困難」として国の過失を否認。もう一つの争点の除斥期間については、旧法下で「他人より劣る者」と差別されてきた被害者らが賠償請求するのは困難であり、画一的に適用すべきでないと求めた原告の主張を退けました。