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2019年5月21日(火)

主張

1~3月期GDP

経済悪化が浮き彫りになった

 内閣府が発表した、今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価上昇分をさし引いた実質で、前期(昨年10~12月期)に比べ0・5%増と、低い伸びにとどまりました。「マイナス成長」にこそならなかったものの、この伸びが1年間続くとした年率換算でも、2・1%の増です。個人消費は減っており、経済情勢の深刻さを改めて、浮き彫りにした形です。

 景気の悪化がいよいよ明白になる中で、10月からの消費税の10%への引き上げなど許されません。

悪化の中の増税例がない

 GDPの実質成長率は、安倍晋三政権が消費税を8%に引き上げた直後の2014年4~6月期がマイナス7・3%、15年10~12月期もマイナス1・8%、昨年1~3月期と7~9月期もそれぞれマイナス1・3%、マイナス2・5%と、長期にわたって、“足踏み”が続いています。

 今回の1~3月期のGDPの低い伸びも、全体の約6割を占める個人消費が0・1%のマイナスで、これまで“頼みの綱”だった輸出も2・4%も大幅に減りました。企業の設備投資が0・3%減少したことも反映しています。個人消費は、14年4月に消費税を8%に増税してから低迷が続き、年間の実質消費支出は、増税前に比べ25万円も落ち込んでいます。一方、輸出や設備投資のマイナスは、中国経済の低迷や、米中の貿易紛争による世界経済の減速などによるものです。

 安倍政権が増税を狙う消費税は、低所得者ほど負担が重い、逆進的な税制です。導入や増税のたびに、消費が大きく落ち込み、経済は悪化しました。経済情勢が悪化する中での、消費税の導入や増税は、これまでなかったことです。

 消費税を3%で導入した1989年4月も、5%に増税した97年4月も、8%にした2014年4月も、経済情勢は、政府の「月例経済報告」で、「拡大局面」「回復の動きを強めている」「緩やかに回復している」と、上向きの認識でした。安倍政権が、15年10月に予定していた10%への引き上げを、2回にわたり延期した時も、月例経済報告の景気判断は「緩やかな回復基調」というものでした。導入時も、増税時も、2回にわたる10%増税の延期時も、経済情勢は「悪化」していませんでした。

 しかし今回は、内閣府の3月の景気動向指数でさえ、6年2カ月ぶりに「悪化」と認めています。安倍首相は、「戦後最長の景気拡大」だと自慢して、「リーマン・ショック級」の出来事でも起こらない限り増税を実施すると、増税に固執しています。しかし、経済情勢の悪化が明らかになる中で増税を強行するというのは、これまでの2回にわたる延期の決定とも、矛盾するものです。

指摘に耳貸さぬ責任重大

 安倍首相は、これまで繰り返し、増税の中止を求められても、経済が「拡大」しているからと、受け入れませんでした。3月に成立を強行した19年度予算は、消費税増税を前提にした予算です。再三の指摘にも耳を貸さなかった、安倍政権の責任は重大です。

 政府の景気動向指数でもGDPでも、経済の悪化が明らかになった以上、安倍政権は増税を中止し、経済を立て直すための政策を、議論すべきです。衆参予算委での徹底審議が不可欠です。


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