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2019年5月19日(日)

シリーズ欧州議会選2019

「民主主義の赤字」批判

 【ベルリン=伊藤寿庸】欧州連合(EU)の合議機関、欧州議会(定数751)の選挙まで1週間を切りました。投票は加盟28カ国ごとに23~26日に行われます。

筆頭候補が討論

 ブリュッセルの欧州議会を会場に15日、欧州議会の六つの会派の「筆頭候補」によるテレビ討論が行われました。「筆頭候補」制度は、各国政府の駆け引きで欧州委員長が選ばれてきたそれまでの慣行を民主化するという名目で、前回選挙時から導入されました。所属する会派議席で最多となった筆頭候補が、次期欧州委員長の有力候補になります。

 テレビ討論には、中道右派のウェーバー氏(ドイツ連立与党のキリスト教民主社会同盟に所属)、中道左派のティメルマンス氏(欧州委員会第1副委員長、元オランダ外相)らが参加。リベラル会派からは欧州委員長には女性がなるべきだと名乗りをあげたベステアー氏(競争政策担当の欧州委員)が参加しました。欧州緑の党、欧州左翼党も加わりましたが、極右・民族主義政党は参加しませんでした。

 前回2014年の選挙以来、緊縮政策による格差の拡大、難民の大量流入、気候変動の深刻化、各国での極右や民族主義政党の台頭など、欧州は相次ぐ試練に見舞われてきました。

政治構図が変化

 政治構図は様変わりしています。最新の予想では、二大会派の中道右派、中道左派は合わせて315議席と初めて過半数割れとなる見込みです。リベラル派は、フランスのマクロン政権の与党「共和国前進」とあわせて103と第3勢力に進出。イタリアのサルビーニ内相率いる極右・主権擁護派の会派は72と躍進の勢いで、EU懐疑派の政党を合わせると議席の4分の1に上るだろうとの予測もあります。

 テレビ討論では、気候、移民、貿易、経済などがテーマになりましたが、一般論が多く「低調」と評されました。それもそのはずで、有権者が一票を投じるのは各国の政党で、欧州議会会派それ自体ではありません。各国の政党が欧州議会の会派を構成しています。

 欧州議会選挙の投票率は、直接選挙が導入された1979年の62%(加盟9カ国)から、2014年の42・6%(28カ国)へと低下し続けてきました。前回はポーランドの23・8%、チェコの18・2%など国政に比べて極端に低い国もあり、18~24歳の投票率は27・8%にとどまりました。

 欧州議会議員は月約8700ユーロ(約107万円)の報酬を得ています(事務所経費は別個支給)が、支出は公開されないままです。

 EUに一般国民の意思が反映されていないとする「民主主義の赤字」との批判は、欧州議会にも当てはまります。


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