2019年5月17日(金)
「生活保障法」制定を
日弁連が集会
安倍自公政権が生活保護制度の改悪を進める中で日本弁護士連合会(日弁連)は15日夕、「権利性が明確な『生活保障法』の制定を!」と題した集会を国会内で開きました。弁護士や自治体・福祉関係者など約90人が参加。日弁連が作成・公表した「生活保護法改正要綱案(改訂版)」について、日弁連貧困問題対策本部事務局次長の森弘典弁護士が解説しました。
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生活保護は「権利」
森氏は改正案のポイントとして、▽権利性の明確化▽保護申請を窓口で受け付けない「水際作戦」を不可能にする制度的保障▽保護基準を民主的に決める仕組みづくり▽一歩手前の生活困窮層に対する積極的支援▽ケースワーカーの増員と専門性の確保―の5本柱を紹介。「生活保護が『権利』であることを明確にし、よりよい生活保障を実現させたい」と述べました。
全国各地の福祉事務所で水際作戦が行われ、多くの人が生活保護にたどり着かない現状があります。
大阪市立大学大学院都市経営研究科の五石敬路准教授は、生活保護法に替えて国民基礎生活保障法を制定した韓国では「貧困層でありながら給付が受けられない『死角地帯』の解消と支援に早くから取り組み、予算も利用者数も増えている」と紹介しました。
職員増やし手厚く
元堺市のケースワーカーで立命館大学産業社会学部准教授の桜井啓太氏は、1人のケースワーカーが担当している世帯数が政令市で平均94・3世帯、中核市は102・3世帯だと指摘。「配置標準数(都市部=80世帯、郡部65世帯)すら守られていないため、十分なケースワークが行えない状況になっている。単なる目安ではなく、法定数にすることが必要だ」と強調しました。
神奈川県内の自治体でケースワーカーとして働く男性(58)は「職員の病休・育休などによる人員確保で非常勤化が進んでいることも問題ではないか」と指摘。桜井氏は「国はケースワーカーの専門性を高めることを考えていないので、危機感を持たなければ非常勤化や委託化が進められる」と警鐘を鳴らしました。
日弁連の難波幸一副会長は、安倍政権が生活保護法改悪や生活保護基準の引き下げを強行してきたことに触れ、「あるべき法制度の実現に向け、皆さんと考えていきたい」と語りました。