2019年5月13日(月)
米ロサンゼルス 独自の気候変動対策発表
環境保護と雇用創出進める
米西部カリフォルニア州最大の都市ロサンゼルスのガルセッティ市長はこのほど、市独自の気候変動対策「グリーン・ニューディール」を発表しました。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を支持し、市レベルで環境保護と新たな雇用創出を進める先進的な取り組みを打ち出しています。(ワシントン=遠藤誠二)
4月29日発表のロサンゼルス版「グリーン・ニューディール」は、2036年までに再生可能エネルギー供給を全体の80%に増やし、45年までには州全体で100%にする野心的な政策を掲げています。同時に、再生エネルギー分野で35年までに新たに30万人、50年までに50万人の雇用を生み出す計画。市内のすべての建物のエネルギー供給を電気にし、自動車の電動化とともに50年までに温室効果ガスの排出をゼロにします。
その他、28年までにプラスチック製ストロー、食べ物の持ち帰り用使い捨て容器を無くし、35年までに排水を100%再利用、9万本の植樹を行うことなどを盛り込んでいます。
発表にあたってガルセッティ市長は、「ロサンゼルスでは山火事や道路での洪水が起きており、気候変動の危機に取り組むうえで一刻の猶予もない。環境を保護し、すべての人に役立つ経済活動になるよう明確なビジョンをもってロサンゼルスは対策の先頭に立つ」と抱負を語りました。
気候変動対策をめぐり、連邦レベルでは、今年2月に民主党が下院に「グリーン・ニューディール」の骨格を示す決議案を提出。10年以内に温室効果ガスの排出量をゼロにする内容です。同党から来年の大統領選に出馬を表明しているサンダース、ハリス、ウォーレンの各上院議員も支持しています。
共和党が多数の上院では、同様の決議案は否決されています。民主党のペロシ下院議長も「グリーン・ニューディール」とは距離を置く姿勢を示し、連邦レベルでの実現にはまだ高いハードルがあります。
米東部ニューヨーク市も4月22日、30年までに40%の温室効果ガス排出削減(05年ベース)を目標にする「グリーン・ニューディール」を提示。全米で最大規模の都市が率先して気候変動対策を進めることになります。